この絵本の内容紹介
これは「哀しみ」の物語じゃなくて「愛しさ」の物語──
ほぼ文字のない絵本。なのに、どうして号泣しちゃうんだろう。
『サヨナラのきもち』のあとがきより
2020年、新型コロナウイルス蔓延を受け、生活に癒しを求めてペットを飼う人が増えました。
しかし、ペットフード代や医療費が払えなくなり、ペットを手放したり、コロナの終焉と共に「遊びにいけない」「思っていたより大変」「臭いが気になる」など、身勝手な理由で、飼育放棄が相次ぎました。
ぼくは、行き場を失った命のニュースを耳にするたび、お腹を空かせてたたずむ犬や寒さで震えている猫たちを想像し、スケッチブックに描いては、この子たちの想いを絵本にするとこころに誓いました。
『サヨナラのきもち』は、こうして生まれたのです。
このお話の冒頭では、飼い主が泣く泣く愛猫を手放します。
一体どんな理由があったのか……猫は街はずれの森に捨てられてしまいました。
それでも猫は飼い主を探します。
猫は、飼い主と過ごした楽しかった時間をしっかりと覚えていて、誰よりも大好きな飼い主といつまでも一緒にいたいと願ったからです。
ペットにも“こころ”があります。
喜びます。怒ります。そして、悲しみます。
傷ついたこころは、私たち人間と一緒で簡単には治せません。
この猫は、このあと、どのような人生をたどったのでしょう。
エピローグは、あなたのこころだけが知っています。
『サヨナラのきもち』編集者より
この物語は、あたたかな絵からは想像しがたい、とてもつらいシーンから始まります。
とくに、猫・犬などの動物が大好きな人、ペットと“家族として”一緒に暮らしている人、暮らしたことがある人には、たまらなく切ない……ともするとショックな物語となっているかもしれません。
こういった内容を絵本にしてしまうことが、もしかすると賛否両論を引き起こすかもしれず……それでも、出版に踏み切った「理由」が、きっと、すべての人までとはいかなくても、愛の深い一部の人にはしっかりと届くと、わたしたちは信じています。
そんな、勇気を伴った出版となりました。
この世の中が、どこまでもどこまでも途切れることのない「愛情のキャッチボール」で溢れていくことを切に願って──
編集:松本えつを