この絵本の内容紹介
“「たいせつなもの」が ちかすぎてみえないこともある”
「思いやりの心」と「俯瞰力」「想像力」を育む “塗る子が主役” の知育絵本
色を塗る「きみ」がいて、はじめて完成する「合作絵本」だよ!
> ぼく ちこら。
> ぼくには たいせつな ともだちが いる。
この絵本は、ちこらが心の内を語るところから始まります。
> おやじちこらは このごろ ころんで けがをしたり かぜを ひいたり……
> わるいできごとが つづいていて……
どうやら、ちこらの大親友の「おやじちこら」は、最近めっぽう調子が悪いみたいですね。
> ぼくは とても……しんぱい。
> おやじちこらのために ぼくに なにか できること……ないかな。
大好きなおやじちこらのために、自分にできることを探し始める、なんとも健気な、ちこら。
> そういえば まえに おやじちこらが いっていた。
> 「よつばのクローバーは しあわせを つれてくるんやで」
> 「マジか!」
そこでちこらは、少し前におやじちこらと話していた内容を思い出します。
「きっと、今のぼくにできることは、よつばのクローバーを探すことだ!」と思ったちこらは、クローバーの丘へと出かけることにしました。
> おなかが すいてきた。つかれてきたし やすもうかな。でも……
> このまま みつからなかったら おやじちこらに とどけられないから やっぱり やすまず さがそう。
クローバーの丘だったら、よつばのクローバーがたくさんあるにちがいない! と思ったのに、どうやら、なかなか見つからないようです。
何時間も探して、お腹も減ってヘトヘトのちこらですが、休憩もせずにぶっ通しでよつばのクローバーを探します。
> そろそろ おひさまが かたむいてきた。
> まだ ひとつも みつからない。
> もう……だめかも。
あらあら。ちこらは涙を浮かべて、今にも「よつばのクローバーを探すこと」を投げ出してしまいそうです。
はたして、このあとはどうするのでしょうか。
そして、ちこらはぶじに、おやじちこらによつばのクローバーを届けられるのでしょうか?
ラストは、ちょっぴり予想外の結末が待っています。お楽しみに!
*** 『ちこらのぬりえほん ちこらとよつばのクローバー』で自然と身につく「4つの力」 ***
[1]ことばの力
英語と日本語(日本語は標準語と関西弁)のバイリンガル表記! ことばの解説もあります。
[2]画力と色彩感覚
本文用紙にマーメイド紙を使用。色の塗り方や作画のヒントも満載!
[3]思いやる力
大切なお友だちを思いやる登場キャラクターたち。勧善懲悪ストーリーではなく、思い合い、助け合う展開がやさしい心を育みます。
[4]俯瞰力・想像力
近すぎて見えなかった「さがしもの」を見つけるラストシーンで「俯瞰することの大切さ」を学びます。
*** 『ちこらのぬりえほん ちこらとよつばのクローバー』のあとがきより ***
本書は、2016年、New YorkはBrooklynで行われた絵本展にあわせて書き下ろした絵本『ちこらとよつばのクローバー』をベースとした「塗り絵ができる絵本(ぬりえほん)」です。
「画力・色彩感覚」「絵画の知識」「ことばの力」「思いやる力・想像力」「俯瞰力」などを楽しみながら自然と身につけてもらえるように、仕様や構成には、とてもこだわりました。しかしながら、本書のいちばんの存在意義は、じつはそのストーリーにあるといえます。
ちこらが親友のおやじちこらのために「しあわせのよつばのクローバー」を探しにいく。夢中で探すけれどひとつも見つからず、くじけそうになる。日も暮れてきて途方にも暮れて、自己嫌悪に陥っていたところ、そこにまさかのおやじちこらが現れ、「気球に乗っていっしょに帰ろう」と。そして、気球に乗り、さっきまで自分がいた場所をふと見下ろすと、そこには見たこともないくらい大きなよつばのクローバーが……! ちこらはまさに、ずっとずっと、世界でいちばん大きなよつばのクローバーの「中に」いたのでした。そして、それを知るきっかけをくれたのは親友であり、その親友を「つれてきてくれた」ともいえるのは、ちこらが親友をまっすぐに想う強い気持ちだったのです。
大人でも「夢中になって客観視や俯瞰ができなくなること」はあります。ましてや、強く何かを願っている幼い子どもだったらどうでしょう。なおさらではないでしょうか。
物事を達成するには「集中力」が不可欠。家でも学校でもその大切さはさまざまなシーンで教わることと思います。けれども、「思い切り集中してもうまくいかなかったら、いったん手を止めて、一歩や二歩、いや、百歩くらい離れた遠いところから状況を眺めるといい」ということを学ぶ機会は案外、少ないものなんですよね。
まじめでいい子ほど、集中力があり、頑張り屋さん。物事への取り組みが成功することも多いでしょう。でも、その分、「うまくいかなかったとき」に自分を責めたり、「あきらめちゃダメだ……」と思い詰めたりしやすいのもまた、事実です。
本書の読者さんが、ストーリーを通して「思いやる力・想像力」「俯瞰力」をさらに身につけ、どうか、どうか、自分で自分を追い詰めることなく、適度に力を抜いて呼吸を整え、心のバランスの取れた毎日を過ごしてもらえたら……、つくり手として、これほどしあわせなことはありません。