この絵本の内容紹介あらすじ

“人生という名のマラソンを半分くらい走ったと思っている大人たちへ捧ぐ「たまご」から飛び出た青年の誓い。”

本書は当初、大人たちへ捧ぐ詩画集として制作していたが、つくっているうちに、いままさに大人になろうとしている世代に生きることの必要性を切々と伝えようとし始めたので、結果的には全世代向けの問題作になりました……!

> ぼくは、たまご。
> もう、たまご。
> まだ、たまご。

最初から最後まで、ずっと「たまご」がしゃべります。

物語は、青年がついに、たまごから一歩踏み出そうとしているシーンから始まります。

> ついに、僕は、ここから出る。
> 何もない、この世界から、
> 何だってある、あの世界へ。

希望に満ちた「たまご」のひとりごとから始まるストーリーですが、「たまご」がずっと希望に満ちているわけではありません。
どちらかというと、常に選択を迫られ、葛藤し、傷つき、傷つけながら、成長していきます。

ストーリーが始まってしばらくすると、主人公は独特な方法で、ついに「たまご」から外の世界へと足を踏み出します。
これは前作『The EGG -ある「たまご」の記憶』と大きく異なる点のひとつです。

外界に出た主人公は、数々の「対象」(それは主として「人」である)と出会い、その度に大切な気づきを得ていきます。

そして、ストーリーのフィナーレでは、主人公がひとつの「答え」に辿り着くのです。

今作は、描き手であり、本作の主人公のモデルでもあるヤスダソータロー自身の身に起きた直近の出来事も踏まえ、ひとつひとつのエピソードが編まれました。

よく読むと、彼が言葉にしていなかったけれど強く思っていたことが感じ取れる内容になっています。

『The EGG -KARAを破ったその先に』の3つの特徴

[1]数え切れないくらいたくさんの「たまご」が登場する

……「数え切れないくらい」という表現はちょっと大袈裟でした。数え切れます。
でも、「数えるのが大変なくらい」、たまごが多いです。
ヤスダソータロー氏が描いた無数のたまごの中から予選を勝ち抜いたたまごが本書に掲載されています。
前作と異なり、パッと見た感じでたまごだとはわかりづらい作品もあります。
いろいろなたまごの中から、お気に入りを見つけてくださいね。

[2]1回目に読む用と2回目以降に読む用の文章が書かれている二重構成

前作同様、文章が二重構成になっています。
1回目には、太くて黒い文字を読んでください。
2回目以降は、その背後にある細くてグレーの文字も読んでみてください。
読めば読むほど味が出る、新たな発見があるようなつくりです。
大人の楽しみ方、ぜひトライしてみてくださいね。

[3]残酷な絵柄も混じっているけれど、じつは「愛」と「繋がり」の物語

今回は全体的に水彩タッチ。ときに「残酷」な描写も。
でも、それらに込められているメッセージはとてもあたたかいもの。
今作は一貫して「愛」と「繋がり」の物語なのです。
読んだ人の心にまたひとつ、あらたな愛の灯火が生まれますように。

『The EGG -KARAを破ったその先に』の対象年齢

最初は大人向け(特に大人になりかけ〜なり始めの方向け)につくっていました。
でも、最終的には、全世代向けになりました。

むずかしい単語も出てきますが、大きな文字のほうにはルビを振っています。
ですが、まだ文字が読めないお子さまには、どうか大人の方が読み聞かせてあげてください。