この絵本の内容紹介あらすじ

“人生という名のマラソンを半分くらい走ったと思っている大人たちへ捧ぐ「たまご」の憧れと恐れと平和への祈り”

本書は当初、大人たちへ捧ぐ詩画集として制作していたが、つくっているうちに、いままさに「たまご」である世代に向けて必死に愛を伝えようとし始めちゃったので、結果的には全世代向けの問題作になりました……!

> ぼくは、たまご。
> もう、たまご。
> まだ、たまご。

最初から最後まで、ずっと「たまご」がしゃべります。

すべてを通して、青年がまだ「たまご」だった頃の記憶を描いています。

> 僕は、いま、
> 誰でもない。
> 君でもないし、
> 僕でもない。

> ということは……

> すなわち、
> ショーライユーボー。

> たまごだから、
> どんな花でも咲く。
> たまごだから、
> どんな実でも実る。

> つまり、
> たまごだから、
> なんにでもなれる。

希望に満ちた「たまご」のひとりごとから始まるストーリーですが、「たまご」がずっと希望に満ちているわけではありません。

また、ストーリーの中のどこで「たまご」が孵化(ふか)するかを楽しみにして読まないようにしてください。
だって、何を隠そう、「たまご」は「ある瞬間」まで孵化しないのですから……!

『The EGG ある「たまご」の記憶』の3つの特徴

[1]数え切れないくらいたくさんの「たまご」が登場する

……「数え切れないくらい」という表現はちょっと大袈裟でした。数え切れます。
でも、「数えるのが大変なくらい」、たまごが多いです。
いろいろなたまごの中から、お気に入りを見つけてくださいね。

[2]1回目に読む用と2回目以降に読む用の文章が書かれている

1回目には、太くて黒い文字を読んでください。
2回目以降は、その背後にある細くてグレーの文字も読んでみてください。
読むたびに、新たな発見があるようなつくりになっています。
大人の楽しみ方、ぜひトライしてみてください。

[3]暗くて怖そうに見えるけれど、平和への祈りが詰まっている

パッと見た感じでは、全体的に「怖い」絵本なのかな? と感じるかもしれません。
たしかに、ときおり、激しい単語が出てきます。
たしかに、ときおり、悲しい絵が出てきます。
でも、それらは愛と平和に満ちた世界を強く願うがゆえの描写です。
読んだ人の心にまたひとつ、あらたな愛の灯火が生まれますように。