この絵本の内容紹介あらすじ

この絵本は、少しでも多くの方に、病気への理解を深めると共に、病気と生きる息子の姿を描いています。
息子の匠(たくみ)は「色素性乾皮症」です。
紫外線に当たることで、体のあらゆる個所に皮膚がんが出来てしまう難病で、未だ治療方法はありません。
皮膚の疾患だけではなく、年齢を重ねることに、身体の機能がどんどん低下し、重篤な症状が出てきます。
筋肉の機能も衰えるため、歩行も困難になり、食事を飲み込むことも、難しくなると言われています。
そのため、本来うれしいはずの匠の誕生日が、ちょっとだけ複雑な気分になった時もありました。
ようやく病気が分かった時は「遺伝性の病気」と言うこともあり、自分を責めた時もありました。
「なんでうちの子なんだろう」「なんで代わってあげられないのだろう」と、涙も出なくなる程泣きました。
「母親として、私に出来ることはなんだろう」
自問自答を繰り返し、考えついたのが、「食」から匠を支えることでした。
食べる事は、体作りにも繋がり、生きる事に繋がります。
それに美味しいものを食べると、皆んな笑顔になりますよね!
私の子供に生まれてきてくれた以上、最高に幸せな子にしたい!
そんな思いから、料理家になることを決めました。
その甲斐あってか、匠はこれまで風邪をひくこともなく、優しく元気に成長しました。
かわいい赤ちゃんや、犬を見れば、いつも満面の笑みで「かわいいね」と言ったり、泣いている子がいれば「どうしたの?」と、いいこいいこ。
6年生になる子供にしては、心も幼いのですが、そんな息子を何としても守らなければ、そう思い、これまで生きてきました。
でもある日、支えられてるのは私の方だと気づきました。
匠の屈託のない笑顔や、純粋な優しさ、素直でまっすぐで温かい心。
本当に大切なものを、匠はたくさん私に分けてくれました。
これまで匠と出会った、たくさんの人たちにも。
「毎日を大切に笑顔で生きよう」
「生きているだけで、こんなに素晴らしく温かいのだから」
この本を通して、皆さんが大切な方と「あなたのまほうはなんだろうね」と、話し合える機会となれば嬉しいです。
きっと誰もが、自分だけのまほうを持っていると思います。
【あとがきより抜粋】