この絵本の内容紹介
『ほしいものが簡単に手に入る世の中になり、それは子どもの生きる世界にもさまざまな影響を及ぼしています。便利で豊かになったかにみえる一方で、知らずに失っているものがあります。
知恵と工夫で誰かを幸せにすることがもたらす深い喜び、だいじな人を守りたいという素直な気持ち、ほしいものを手に入れるまで、ひたむきに何かを続け、待ち、辛抱する大切さ――著者の少年時代の逸話を通して、現代の暮らしで得がたくなった心のひだを伝える一冊です。
舞台は高度成長期、町工場の家がひしめく東京の下町。
主人公の少年は、“いちごのショートケーキ”を見に、毎日のように町のお菓子屋さんに足を運んでいた。買うのではなく、ただ見るだけの日々。ケーキ屋のおばさんは不思議に思いながらも、そんな少年を見守りつづけていた。ある日、なけなしのお小遣いを握りしめ、少年は満を持して念願のいちごのショートケーキを買いに行く。それは、だいじな人を守るための、少年の一途な想いと決意にあった……。