この絵本の内容紹介
「おかあさん、きょうは なんのひだか、しってるの? しーらないの、しらないの、しらなきゃ かいだん 三だんめ」
朝、まみこはそう言って、歌ってスキップしながら学校へと行ってしまいました。
お母さんが階段に目を向けると、三段目のところに赤い紐で結んだ手紙が。そこには「ケーキのはこをごらんなさい」とまみこの字で書いてありました。
居間に置いてあるケーキの箱を開けると、赤い紐で結んだ手紙が入っており、「つぎはげんかんとかさたてのなか」と書いてあります。
お母さんが急いで玄関に戻り、傘立ての底を覗くと、そこにも赤い紐で結んだ手紙がありました。その手紙には「こんどはわたしのほんのなかよ ヒントはいちばんすきなえほんです」と書いてあります。
今度は二階に上り、まみこの部屋へ。お母さんはまみこの好きな絵本をお見通しです。本箱から「マドレーヌといぬ」を引き出すと、赤い紐で結んだ手紙が挟まっていました。その手紙には「きんぎよのいけにもうかんでいます」と書いてあります。
お母さんは階段を下りて一階に向かい、それから庭に出ました。すると、金魚が泳ぐ池にはビニール袋が浮いています。そして、そのビニール袋の中には赤い紐で結んだ手紙が入っていました。手紙には「ねんどのぶたがくわえています」と書いてあります。
そうして、豚の貯金箱が咥えた手紙を見つけたり、ピアノの鍵盤に置いてある手紙を見つけたり……。お母さんは家中探し回って、赤い紐で結んだ手紙を見つけます。
9枚目の手紙には「でんわでおとうさんのポケットのなかきいてください おねがい」と書いてあります。手紙探しは家の中だけに収まりません。
ちょうどお昼時、お父さんに電話すると上着のポケットには赤い紐で結んだ手紙が入っていました。お父さんにはこの手紙が何のことだか見当もつきません。手紙には「とうとうゆうびんばこにプレゼントがとどきました おせわさま」と書いてあります。郵便箱にはどんなプレゼントが入っているのでしょう。
まみこの遊び心が詰まった手紙探しに奮闘したり、まみこからのプレゼントには凝った仕掛けがされていたり、お父さんとお母さんもまみこにサプライズしたり、楽しくて微笑ましい一日が描かれます。
ところで、今日は何の日でしょう。まみこが仕掛けた10枚の手紙にその答えが隠されています。まみこの楽しい遊び心に、最後の最後まで目が離せません。
余談
作者の瀬田 貞二氏は、絵本の世界に大きな影響を与えた「絵本論」を出版し、日本の絵本に関する基本的な考え方を示しました。
絵本論が出版されたのが、11月30日ということで、この日は「絵本の日」という記念日になっています。
また、この絵本に登場する「マドレーヌといぬ」は、作者の瀬田 貞二氏が翻訳した絵本です。物語に登場するまみこの遊び心にも感心してしまいますが、作者の遊び心もひそかに隠されています。