この絵本の内容紹介
ジオジオは、ライオンの中でも一番強い存在でした。
それなので、遠くのほうでジオジオの冠がピカッと光るのが見えると、誰もがコソコソ隠れてしまいました。
ジオジオは、そんな日常をつまらなく感じました。キリンを追いかけるのも、シマウマを追いかけるのも、どれもこれも嫌になってしまい、誰かとゆっくり話したいと思いました。
小鳥との出会い
「ジオジオの おうさま、つまらなそうですね。わたしも つまんないんです」
ある日、一羽の灰色の小鳥がジオジオに話しかけました。そして、小鳥は身の上話を始めました。
「むっつも あった たまごが、みんな なくなって しまったんですよ。みっつは ひょうが ぬすんだんです。ふたつは へびが のんだんです。あと ひとつは、かわの なかに おっことして しまったんです」
その話を聞いたジオジオは、あることを思いつきました。それは、冠の中で卵を育てれば安全だということ。
さっそくその話をすると、小鳥は手放しに喜びました。そして、ジオジオの冠に巣を作り、やがて卵を産みました。
ヒナの誕生
ジオジオは、頭の上に小鳥を乗せて、のそのそと歩きました。夕立ちが降ったときは、大きな木の下で雨宿りをしました。
ジオジオと小鳥は、片時も離れず、寝るときも一緒でした。そのおかげで、ヒョウもヘビも卵に近づくことはなかったのです。
そうして月日が流れ、春を迎えると、小さなヒナが七羽生まれました。
ジオジオの頭の上では、ヒナが「ちっち ちっち」と泣き、小鳥は何度もエサを運びます。ジオジオは、ヒナの成長を見送りながら、穏やかな日々を過ごしていくのでした。
ピクトブック編集部の絵本談議
ジオジオに誰も近づかなかった理由も分かるような気がするなぁ。
だって、偉い人だったり、有名な人だったり、凄い人がいたとすると、声を掛けるのはおろか近づくのも億劫になると思うんだ。百獣の王なんて言われるライオンだったらなおさらじゃないかな?
たしかにそうだね。
例えば、怖そうな人相の人見かけたら、ついつい遠ざかってしまうもん。
うんうん。
でも、ジオジオと小鳥みたいに、実際に関わってみないと分からないことのほうが多いのかもね!
この物語が伝える一番大事なメッセージはそれかも!
「ゆっくり誰かと話したい」という望みは、なんだか尊く感じちゃうね。