この絵本の内容紹介
雄鶏が「こけこっこう!」と朝の訪れを知らせます。
朝になって雌鶏が卵を産むと、雄鶏は自分が卵を産んだかのように得意気に「こけこっこう!」と鳴くのです。
鶏の鳴き声で目覚めたおばさんは、雌鳥の働きに感心しながら卵の数を数え始めます。
卵は3ダースで36個。おばさんは、卵を売りに町へ出掛けることに。
丘を越えて町へと向かうおばさんですが、歩けど歩けど町はまだまだ遠いのです。道中、退屈しのぎに考え事を始めるのでした。
おばさんは、この卵はいくらになるだろうかと金勘定。あれこれと考えを巡らせるうちに、卵を売ったお金で何ができるだろうかと、おばさんの夢に火が着きました。
卵を売ったお金で2羽の雌鳥を買えば、おばさんの家の雌鳥と合わせて3羽になります。そうすれば今までの3倍の卵を市場に持って行くことができるのです。
そのお金を元手にまた3羽の雌鳥を買えば、雌鳥は全部で6羽。雌鳥が毎日6個の卵を産み、半分を市場に持って行き、半分をヒヨコに孵せば、瞬く間に大きな商売になるのです。
おばさんの夢はまだまだ膨らみ、大儲けしたら次はガチョウを2羽と子羊を1頭買おうと考えます。ガチョウから羽をむしり、子羊から毛を刈れば、儲けはどんどん大きくなるのです。
それから豚を2頭買って、乳牛を1頭買えば、ハムにベーコン、ミルクにクリーム……。商売の幅がさらに広がります。
そしてお金に余裕ができれば、召し使いを雇って自分は贅沢三昧。ある日、大金持ちから結婚の申し込みがあって・・・。おばさんの夢はまだまだ広がります。
ところが、物思いに更けたおばさんは手を滑らせて卵を地面に落としてしまい——。
「捕らぬ狸の皮算用(手に入るかどうかもわからない不確かなものに期待をかけて、ああだこうだと計画を練ること)」ということわざを物語として描いたようなお話。おばさんの夢は、一抹の泡となって消えてしまいます。
先々のことを考えて行動することも大切なことですが、まずは今という現実をしっかり生きることが大切なのでしょう。