この絵本の内容紹介
昔々、あるところにお母さんと三人の兄弟が暮らしていました。お母さんは病気にかかると寝たきりになってしまいます。そして、ある日、お母さんが奥山の山梨を食べたいと言うのでした。
そこで、山梨をもいでくるため長男の太郎が奥山に出掛けることになります。そして、太郎が山の麓まで来たところ、大きな切り株の上に座っている一人のおばあさんに出会うのでした。
喉が渇いて堪らないおばあさんは、太郎に水を汲んできて欲しいと頼みます。ところが太郎は、山梨もぎに出掛ける途中で忙しいと言って、おばあさんの頼みを断ってしまいます。
太郎の事情を知ると、おばあさんは親切なことに山梨のなっている場所までの道のりを教えてくれます。三方向に枝分かれした道があって、風でなびく笹から聞こえる「ゆけっちゃ かさかさ」という方角の道を進めばいいと言うのです。
太郎が山道を歩いていると、おばあさんの言ったとおりに三方向に枝分かれした道が現れます。そして、風が吹くと真ん中の道に生えた笹から「ゆけっちゃ かさかさ」と聞こえ、左右の道に生えた笹から「ゆくなっちゃ かさかさ」と聞こえてくるのです。
ところが、太郎はおばあさんに教えてもらったことなどすっかり忘れてしまい、「ゆくなっちゃ かさかさ」と聞こえる右の道に進んでしまうのでした。
太郎が山道を進んでいくと、次は「ゆくなっちゃ とんとん」と鳥が鳴いています。それでも太郎は山奥へと足を進め、次は「ゆくなっちゃ からから」と木の実から音が聞こえてきます。自然から聞こえてくる忠告も聞かない太郎ですが、山奥へ進むと視界が開け、大きな沼の近くに山梨のなった木々を見つけることができたのです。
それから、太郎は山梨をもごうと木に登るのですが、水面に自分の影が映ると沼の主に見つかってしまい、さらには丸飲みされてしまうのでした。
太郎がいつまで経っても帰ってこないので次郎が山へ向かい、次郎もいつまで経っても帰ってこないので次は三郎が山へ向かい……。
三人の兄弟達は一体どうなってしまうのでしょうか。そして、病気で床に伏せた母は元気を取り戻すことができるのでしょうか。
沼の主が大迫力の手に汗握る絵本です。