この絵本の内容紹介
「みいちゃん、ひとりで おつかい できるかしら」
ある日、ママはとても忙しそうでした。それなので、牛乳を買ってきて欲しいとみいちゃんにお願いしました。ところが、みいちゃんは「ひとりで!」と驚いてしまいます。今まで一人で出掛けたことがなかったからです。
「ひとりで かってこられる?」とママがもう一度尋ねると、「うん! みいちゃん、もう いつつだもん」と張り切って言いました。
おつかいに出掛ける前に、みいちゃんはママと約束をしました。それは、車に気をつけること、お釣りを忘れないこと。この二つの約束をすると、みいちゃんは百円玉を二枚握りしめて、おつかいに出掛けていきました。
みいちゃんは、ご機嫌に歌いながらお店に向かいます。ところが、ベルを鳴らしながら自転車が向かってくると、みいちゃんは驚いてしまいました。壁にぺたっと背中を合わせて、自転車が通り過ぎるのを待ちます。
そうして自転車が風のように通り過ぎると、そこに今度はお友達のともちゃんがやってきました。「どこへ いくの?」と聞かれたみいちゃんは、おつかいの話をしました。すると、ともちゃんは「へえ!」と目を丸くして感心しました。
それからともちゃんと別れると、今度は坂道に差し掛かりました。ママと公園に行くときに通る、歩き慣れた坂道です。
「かけあし どん!」
みいちゃんは、一人で号令を掛けると坂道を駆け出しました。ところが、走り出した途端に石につまずいて転んでしまいます。さらに不運なことに、つまずいた拍子に百円玉もどこかへ転げてしまうのでした。
手も足もじんじんと痛みますが、それどころではありません。みいちゃんは、お金のことが心配ですぐに立ち上がりました。
百円玉は道の端に一つと草の陰に一つ転がっていました。なんとか二枚とも拾い上げると、みいちゃんは坂道を駆け上りました。
そうして坂道の上にあるお店に到着しますが、お店の中には誰もいません。みいちゃんは大きな深呼吸をしてから「ぎゅうにゅう ください」と言いました。ところが、大きな声を出そうと思ったのに小さな声しか出ませんでした。お店には誰も出てきません。
今度は、もっと深く深呼吸をしてから「ぎゅうにゅう くださあい」と言いました。それでも誰も出てきませんでした。みいちゃんの声は、偶然通りかかった車の音にかき消されてしまったのです。
ドキドキしながらもなんとか牛乳を買おうとするみいちゃんですが、今度は態度の大きなおじさんがやってきて……。
みいちゃんは無事に牛乳を買うことができるのでしょうか。そして、ママとの二つの約束を守ることができるのでしょうか。
みいちゃんのおつかいは、驚いたり、不安になったり、緊張したりの連続です。その姿を見ているうちに陰ながら応援したくなることでしょう。この絵本は、小さな女の子の心の変化を色鮮やかに描きます。