この絵本の内容紹介
オオカミは絶滅したと思われていましたが、本当は一匹だけ生き残っていました。子どものオオカミです。
「どこかに だれか いないかな」
そのオオカミは、いつも独りぼっち。来る日も来る日も仲間を探してうろついていました。
オオカミに仲間は出来ない!?
ある日、オオカミはウサギの住む町にやってきました。
ところが、誰も彼もオオカミを避けました。
「なかまが ほしいな でも うさぎなんか ごめんだ」
ウサギ達の冷ややかな態度に、オオカミは「け」と含みのあるセリフを吐き、別の町へ移ることにしました。
けれども、どの町でも仲間を見つけることは出来ませんでした。ヤギの住む町、ブタの住む町、シカの住む町……どこに行ってもオオカミを相手にする者は誰もいなかったのです。
「おれに にたこは いないかな」
今度は自分に似た生き物を探しましたが……それすらも見つけることは出来ませんでした。
「やっぱり おれは おおかみだもんな おおかみとして いきるしかないよ」
オオカミは「け」という含みのあるセリフを吐き、そう思うことにしました。
そのオオカミの様子は、仲間探しを諦めたようにも、何かを決意したようにも見えるのでした……。
ピクトブック編集部の絵本談議
なんだかオオカミが可哀想に思えてきたよ……。
でも、最後は仲間がきっと出来るよね?
そうだねー、オオカミに仲間は出来ないんだよね。
でも、捉え方次第なんだけど、可哀想とも言い切れないのがこの絵本の面白いところかな。
最後のオオカミの心の落とし所が、不覚にも納得しちゃうかも。潔いというか何というか。
うんうん。
この絵本は少なくとも「友だち100人できるかな」の考えとは相反するものかもね!
そうなんだよね!
この絵本が描くのは「白か黒か」「善か悪か」「0か100か」みたいなこととは違うんだよね。
みんなにとっては正解じゃないかもだけど、自分の中では「とりあえず」正解にする——そんな中間解みたいなのが魅力なのかも!