この絵本の内容紹介あらすじ

ある国のある王様は、毎朝、朝食を終えると『挨拶の部屋』へ出掛けることになっていました。お城の人々が王様に挨拶をしようと待っているのです。王様が『挨拶の部屋』に着くと、決まってラッパが鳴りました。

テレレッテ トロロット プルルップ タアー♪

まず初めに、王様に挨拶するのは大臣。
「王さま、おはようございます。ごきげんがよくて、けっこうですね」

次に挨拶するのは兵隊の隊長。
「王さま、おはようございます。へいたいたちは、みんなげんきで、おしろをまもっております」

その次が王様に勉強を教える先生。
「王さま、おはようございます。きょうも、しっかりべんきょうして、りっぱな王さまになってください」

さらには、医者や歯医者、床屋さん……。王様への挨拶はまだまだ続きます。

ところが、王様の返事といえば「あ、うん」のただ一言。退屈な挨拶が延々と続き、ようやく終わりが見えました。最後の挨拶はコックさんです。

「王さま、おはようございます。ばんのおかずは、なににしましょうね」

そう尋ねられた王様は、初めて「あ、うん」以外の返事をしました。

「たまごやきがいいな。めだまやきにしてくれ」

そうして挨拶の時間が終わると、次は勉強の時間です。それも終わると、待ちに待った休み時間が訪れます。

タララッタ トロロット プルルップ タタター♪

ラッパが鳴ると、王様は「やれやれ」と大きなあくびをしながら庭に出ました。

王様が起こした大騒動

王様にとっての一番の楽しみは遊ぶこと。今日はお城の中を走ることにしました。大臣の部屋、お城の玄関、兵隊達の部屋、美味しそうな匂いのする台所、あちらこちらへと走り回ります。

そして、お城の裏まで回ったとき、王様はにわとり小屋を発見しました。その小屋の中は、鶏達がぎゅうぎゅう詰めになっています。

「おお、かわいそうに、これじゃあ、きゅうくつで、あそぶこともできないね。よし、王さまが、とをあけてやろう」

王様が小屋の戸に目を向けると、偶然にも鍵が挿さったまま。コックさんが鍵をしまい忘れていたのです。そこで、王様は鍵を回して小屋の戸を開けました。

すると、ぎゅうぎゅう詰めだった鶏達が一斉に飛び出し、「わあっ、たいへんだ」と王様はびっくり仰天。慌ててその場を逃げ出しますが、後を追うようにして鶏達も走り回ります。

その異変に見張りの兵隊が気づくと、サイレンや鐘を鳴らして緊急事態を城中に知らせました。

「へいたいのはんぶんは、はんにんをさがして、つかまえろ。あとのはんぶんは、王さまをたすけるんだ。はじめっ」

兵隊の隊長は指示を出し、作戦開始の合図に、空に向かってピストルを撃ちました。

計らずも、ピストルの音に驚いた鶏達は、てんでんばらばら。これで王様は助かりました。あとは犯人を見つけ出せば一件落着です。

証拠隠滅

当然のことながら、王様を疑う者は誰もいません。そして、真相を知るのは王様のみです。お城の人々がどれだけ奔走しても、犯人が見つかることはありません。それなのに、王様は知らんぷりを決め込み、部屋に戻ってしまいました。

ところが、王様は鶏小屋の鍵を握ったままでした。慌てて逃げたので、鍵を持ったままであることに気づかなかったのです。

「しまった。かぎなんかもっていたら、とをあけたことが、わかっちゃうな。ええい、こんなもの、すててしまえ」

王様が窓から鍵を捨てたそのとき、部屋の隅からゴソゴソと音が聞こえました。その正体は、王様を追いかけてきた雌鶏めんどりです。

王様は雌鶏を捕まえて「わしが、とりごやを、あけたのを、だれにも、いうなよ。だまっていろ」と言いつけました。

絵本「おしゃべりなたまごやき」の一コマ

『おしゃべりなたまごやき』の正体とは!?

安心しきった王様は、城中の騒動が楽しくなって、悪ふざけまで始めてしまいました。「かぎをあけたはんにんを、ろうやにいれてしまえ」と命令するほどです。

そのせいで騒動は収まりがつかず、さらには、自責の念に駆られたコックさんが自ら牢屋に入る事態にまで発展してしまうのでした。

そして、晩ご飯の時間、予想だにしない出来事が王様の身に……。絵本の題名である『おしゃべりなたまごやき』の正体が最後の最後に描かれます。


ピクトブック編集部の絵本談議

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騒動に巻き込まれた家来達が気の毒だけど、ついつい笑っちゃうよね。

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遊び心があるというか何というか、王様の憎めない性格が面白いね!

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ところで、『おしゃべりなたまごやき』って何のことだろう?

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それは読んでからのお楽しみ!
最後も面白いんだけど、温かい気持ちにもなるはずだよ。