この絵本の内容紹介
むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんとおばあさんが一番悲しんでいたことは子宝に恵まれなかったこと。
ある日、二人はお天道様にお願いをします。
手の指ほどの子どもでもいたらどんなにいいだろうか。どうか私たちに子どもをお授けください。
するとそのうち、おばあさんのお腹が痛くなって赤ん坊が生まれました。親指ほどの小さな小さな赤ん坊。一寸法師の誕生です。
一寸法師は13歳くらいになりましたが、心は成長すれど体は一向に大きくなりません。体が小さいので家の手伝いもできず、村の子どもたちには「ちび ちび」と馬鹿にされる毎日です。
そこで、一寸法師はここにいても何も変わらないと一念発起。都に上京することにしました。
おじいさんとおばあさんは悲しみますが、一寸法師の気持ちを汲んで送り出すことにします。
一寸法師は、お椀を笠に箸を杖にし、針を刀にして旅に出るのでした。お椀を浮かべ、箸を使って川を上ります。来る日も来る日も漕いで川を上るとようやく都に到着です。
都は人で溢れています。一寸法師は大きな屋敷を見つけると「お頼み申す」と声をあげます。奥から髭を生やした人が出てきましたが、空耳かと思います。そして、一寸法師は「ここにおります」と言うのでその男は驚きました。
「何の用があってきたのか?」と聞かれ、一寸法師は上京してきた理由を説明します。それでも「お前のような小さいものに何ができようか」と男が言うので、一寸法師は扇の上で踊って見せました。それを見ていたのは、男だけではありません。異変に気づいたお屋敷中の人が見物しており、大きな拍手が起きました。
そうこうして一寸法師はお屋敷で働けることになるのですが、実はこの大きな屋敷は大臣のお屋敷。大臣の姫に気に入られた一寸法師はお姫様の付き人の役目を担うことになります。
お屋敷で働きはじめて長い年月が経ったある日、お姫様は清水寺にお参りに行くことになり、一寸法師はお供として付いて行くこととなりました。
ところが、清水寺の参拝の帰り、三びきの鬼に囲まれてしまいます。そして、鬼達はお姫様を連れて行こうとしますが、一寸法師は針の刀をちくちく刺して追い払うのでした。
鬼達が逃げる際、一ぴきの鬼が打ち出の小槌を落としていきました。一寸法師はそれを見つけて、「打ち出の小槌を振ればどんな願いも叶います。振ってごらんください」とお姫様に言います。
しかし、お姫様は首を振って「一寸法師が勝ち取ったものだからあなたの願いを叶えましょう」と言いました。そこで一寸法師は大きくなりたいと願います。お姫様が一振りすると、一寸法師の体は”ずん”と大きくなるのでした。
その後、おじいさんとおばあさんを都に呼んで幸せに暮らしました。
人より劣っていても努力や勇気によって幸せを見事につかみ取ったというお話です。まわりのお友達よりも小さなお子さん、かけっこが遅いお子さん、いろんな悩みを抱えているお子さんにぜひ読み聞かせしてあげてください。
誰にも負けない得意なことをすぐに見つけるのは難しいかもしれませんが、少しでも前向きになれるように背中をちょっぴり押してくれる、そんな機会を作ってあげてみてください。