この絵本の内容紹介あらすじ

「ピッ……。ピッ……。ピッ……。」

春の北海道の大雪山で鳥の鳴くような声が聞こえてきます。

山のあっちからも、山のこっちからも、鋭く短い鳴き声が聞こえてきます。

よく目を凝らすと、風景の中で何かが動き始めました。

その声の主はエゾナキウサギ。ネズミのように小さく、耳は短く、体つきはずんぐりとしていますが、ウサギの仲間です。

絵本「鳴き声できずなを結ぶ エゾナキウサギ」の一コマ

エゾナキウサギは、大きな岩が積み重なった『ガレ場』と呼ばれる場所で暮らしています。岩の下には洞窟のような空間が広がっており、たくさんの出入り口があります。


はるか昔の氷河時代、北海道のまわりの海は氷で覆われ、北方のサハリンやユーラシア大陸とつながっていました。

その頃にエゾナキウサギは氷で覆われた海の上を渡って北海道にやって来たと言われています。

厳しい寒さに適した体をしているため、北海道の中でも気温の低い限られた場所でしか暮らすことが出来ません。


エゾナキウサギは縄張り意識が強く、いつも単独で行動します。

アゴを岩にこすりつけて自分のにおいをつけたり、決まった場所にウンチする『ためフン』をしたり、「ここは自分の縄張りだ」と示すための行動をします。

このように、縄張りを持って孤独に生きてるように見えるエゾナキウサギですが、ずっと独りぼっちということではありません。

春の恋の季節になればパートナーと出会ったり、子どもを育んだり、天敵が近づけば鳴き声を上げて仲間達と知らせあったりするのです。


この絵本にはエゾナキウサギの生態が写真とともに綴られています。春・夏・秋・冬と変化していく季節とともに、エゾナキウサギの暮らしを覗いてみましょう。

巻末にはエゾナキウサギに関するQ&A(エゾナキウサギのこと、もっと知りたい!)付き。

エゾナキウサギのこと、もっと知りたい!

Q1.エゾナキウサギは、北海道のどこにすんでいるの?
Q2.すみかのガレ場はどうやってできたの?
Q3.エゾナキウサギの大きさはどれくらい? 体の特ちょうは?
Q4.エゾナキウサギは何人きょうだいなの?
Q5.オスとメスのちがいはある?
Q6.エゾナキウサギは自分のうんちを食べるって本当?
Q7.ときどき毛がボサボサしているのはどうして?
Q8.エゾナキウサギのなわばりの広さは?
Q9.エゾナキウサギに天敵はいる?
Q10.エゾナキウサギは絶めつ危ぐ種なの?

絵本「鳴き声できずなを結ぶ エゾナキウサギ」の一コマ2