この絵本の内容紹介あらすじ

春の早朝、森の奥でニホンザルが赤ちゃんを生みました。この季節、サルの群れに次々と新たな生命が誕生します。

ニホンザルの一日は、食べ物を探すことから。朝起きると、群れを成して移動します。

ところが今朝は違いました。群れのサル達は、のんびりして動き出そうとしません。

それは、赤ちゃんを生んだばかりのメスを気遣ってのこと。群れのサル達は、仲間を思いやり、協力しあって暮らしています。


大きなヤマザクラの木の上にサル達が。柔らかくて、みずみずしい葉や草、ほんのり甘い花は、サル達にとって春のごちそうなのです。

「ギャッ ギャッ ギャッ!」

群れのサル達は、お腹が一杯になって、思い思いにくつろいでいたのですが……。1頭のサルが突然と警戒の声を出すと、群れのサル達は一斉に集まりました。

「ゴッ ゴッ ゴッ ゴッ!!」

そして今度は一斉に威嚇の声を出し始めました。群れのサル達は、頭の毛を逆立てて、とても興奮して威嚇します。

このようにしてサル達が威嚇しているのは、体長15cmほどのモモンガ。何故かサル達は、空を飛ぶモモンガが大嫌いなのです。


夏になると、サル達のモコモコの長い冬毛は抜けて、夏毛になります。冬毛は頭の頂点から抜けていくのです。

群れのサル達にとって、毛づくろいは絆を深めるために大切なこと。大人のサル達は、日陰で昼寝したり、毛づくろいをして、のんびりと過ごします。

一方その頃、子どものサル達は何をしているのでしょうか。

メスは赤ちゃんに興味津々で、お母さんの目を盗んで、こっそり赤ちゃんを抱っこしていました。でも、お母さんのように上手に抱っこ出来ません。

オスはオス同士で追いかけっこをしたり、取っ組み合いをしたり、木に登ったりと激しく遊びます。喧嘩になって負けそうなときは、お母さんに助けを求めることもあります。


ニホンザルのオスは4歳くらいになると、群れとは別に数頭で行動したり、群れに戻ったりを繰り返すようになります。これらの行動は群れを離れる練習なのです。

このように練習を繰り返し、やがて自信がつくと、オスのサルは群れを出ていき、1頭で暮らすハナレザルになります。

一方、メスのサル達は群れを出ていくことはありません。オスとメスは違う生き方をするのです。


この絵本にはニホンザルの生態が写真とともに綴られています。春・夏・秋・冬と変化していく季節とともに、ニホンザルの暮らしを覗いてみましょう。

巻末にはニホンザルに関するQ&A(ニホンザルのこと、もっと知りたい!)付き。

ニホンザルのこと、もっと知りたい!
Q1.ニホンザルは、どんな国・地域にすんでいるの?
Q2.ニホンザルは、どうして顔やおしりが赤いの?
Q3.ニホンザルのオスとメスにちがいはあるの?
Q4.ニホンザルの体のひみつを教えて!
Q5.ニホンザルは、一日をどんなふうにすごしているの?
Q6.ニホンザルの子どもは、いつからおとなの仲間入り?
Q7.ニホンザルの群れにルールはあるの?
Q8.ニホンザルと人との関係は?

絵本「仲間と暮らすニホンザル」の一コマ
出典:仲間と暮らすニホンザル/文一総合出版