この絵本の内容紹介あらすじ

冬の北海道は一面真っ白な雪と氷の世界が広がっており、びゅうびゅうと冷たい風が吹き荒れます。

この北の大地に生息するのが、日本最大の陸上野生動物であるヒグマです。

体長2メートル、体重400キログラムを超えるヒグマも生息しています。


北海道の冬は氷点下20度を下回ることもあるほどで、動物達は厳しい寒さのなかで暮らしています。

エゾシカは木の皮を剥いで飢えをしのぎ、エゾモモンガは巣穴に集まって暖をとり、キタキツネは食べ物を探して雪原を歩き続け……ヒグマは厚く積もった雪の下で静かに冬眠するのです。


日差しの暖かい4月のある日、森へと続く大きな足跡が雪原の上に残っていました。

この足跡の正体はヒグマです。冬眠から目覚めたヒグマ達が、食べ物を求めて動き出したのです。

数カ月におよぶ冬眠の間、ヒグマ達は何も食べていません。冬眠から目覚めるや否や空腹を満たすために森へと向かったのです。

そして、その森で一頭のヒグマが捕まえたのは、冬の厳しさに弱ったエゾシカ。

このヒグマにとって、長い冬眠から目覚めて最初のご馳走です。


段々と暖かくなって森の雪が解けると、そこにはミズバショウが茂る湿地帯が現れます。

ヒグマにとっては、この湿地帯も大事な食卓です。所々の地面を掘り返したような跡は、ヒグマが柔らかい根や葉を掘り返して食べた痕跡なのです。


冬眠から目覚めたヒグマ達は、森で他の動物を捕食したり、草原に芽吹く柔らかい草を食べたり、木の根元を掘り返してセミの幼虫を食べたり……と空腹を満たしますが、夏が近づくにつれて厳しい環境に見舞われます。草や葉が硬くなり、食べられるものが少なくなるのです。

大きくて強いヒグマであっても、自然界を生き抜くことは容易ではありません。大きな体にはそれ相応の栄養が必要であり、沢山の食べ物を食べ続けなければなりません。

夏になると多くのヒグマ達が山に登って新たな食べ物を探しますが、夏の食べ物の在り処を知らない若いヒグマは衰弱してしまうのです。

絵本「ヒグマの旅」の一コマ
出典:ヒグマの旅/文一総合出版

果たしてヒグマ達は夏を生き延びることが出来るのでしょうか。そして、秋の恵みにありつくことは出来るのでしょうか。


この絵本にはヒグマの生態が写真とともに綴られています。森から川へ、海から山へ、季節の移ろいとともに自然の恵みを追って旅するヒグマ達の暮らしを覗いてみましょう。

巻末にはヒグマに関するQ&A(ヒグマのこと、もっと知りたい!)付き。

ヒグマのこと、もっと知りたい!

Q1.ヒグマはどんな国・地域にすんでいるの?
Q2.日本には、どんなクマが暮らしているの?
Q3.ヒグマの赤ちゃんが生まれるのはいつ?
Q4.ヒグマってこわい動物? 人をおそうの?
Q5.どうすればヒグマに会えますか?

絵本「ヒグマの旅」の一コマ2
出典:ヒグマの旅/文一総合出版