この絵本の内容紹介
ふーっと吹くとタンポポの綿毛が宙を舞います。
ふわりと広がる綿毛は、風に乗って飛んでいきます。綿毛の下に付いた茶色の種も風に乗って一緒に飛んでいきます。
そして、やがて地面に落ちると、種から根っこが伸び、芽が出てきます。
このような特徴を持つタンポポの種ですが、どうして風に乗って飛んでいくのでしょうか?
それは、いろいろな所で芽を出すため。道端や公園や野原など、様々な場所で根を張り、どんどん仲間を増やしていくのです。
不思議な特徴を持つ種はタンポポ以外にも!?
風に乗せて種を運ぶのは、タンポポだけではありません。
トゲ状の葉っぱが特徴的なアザミ、リスの尻尾のような花穂が特徴的なチガヤも綿毛を風に乗せて種を飛ばすのです。
また、ケヤキは葉っぱの付け根に種を付け、秋になると枯れ葉を風に乗せて種を飛ばします。
イロハモミジの実は、プロペラのような羽を持っており、その実の中に種が入っています。そして、そのプロペラのような羽を風に乗せて種を飛ばします。
風ではなく、自分の力で種を飛ばす植物も存在します。
それは、春に小さな花を咲かせるタネツケバナ。細長いサヤの中には小さな種がびっしり詰まっており、種が熟すとサヤがクルクルと巻き上がります。そして、その勢いで弾くように種を撒き散らすのです。
この絵本に登場する植物は21種類。そのどれもが種を遠くへ運ぶための仕掛けを持っています。
風や雨や波といった自然を利用する植物、アリやリスや鳥といった生き物を利用する植物など、不思議や驚きの詰まった植物の世界が描かれています。
また、巻末に収録された「たねってなあに?」では、多様な種の形や植物の生長過程、種と実の生物学的な違いなど、本編の内容を深堀りし、イラストを交えて植物の世界を紹介します。