この絵本の内容紹介
主人公のわたしは5歳くらいの女の子。ひろくんも同い年くらいの男の子。2人は幼馴染なのかな〜。最初のページのイラストから2人のたたずまいは自然で、いつも一緒にいるような雰囲気が伝わってきます。
絵本の文章は見開きに2行程度で、会話もほとんどなく、ひろくんの後をわたしがついていくという静かなストーリーです。
多くを語らないひろくんと一緒にいると、川の流れる音や、風の音もはっきりと感じられる。地面に耳をつけて「土のうた」を聞いているひろくん。わたしもまねをして地面に耳をつけ、目を閉じる…。飛び立った白い小鳥を追いかけて林を走るシーンは光がとても美しく、2人のピュアな精神性を表しているようでした。
「友だち」って、一緒に鬼ごっこをしたり、おしゃべりをしたり、じゃれあったりするイメージがありますが、こうやって付かず離れずの距離感で、一緒に同じ感覚を共有できる関係もすごくすてきだなと思います。自分にはない世界観や考え方を授けてくれるお友だちがいたら、子どもの世界はもっともっと新しいものになっていくことでしょう。
異性の2人はこれから大きくなったら別々のお友だちと遊ぶようになるでしょう。でもこうやって2人で過ごした経験が、あったかい豊かな感性となって残っていくんだろうなと思います。でもいつまでもこのままの関係であったらいいな、と願わずにはいられません。