この絵本の内容紹介
「じゃあね」
「さようなら」
夕方、公園で遊んでいた子ども達は家に帰っていきます。
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「いいなぁ いいなぁ ぼくも かえって みたいなぁ」
遊具のパンダは、子ども達が羨ましくてたまりません。
「どこに いくの?」
「ゆうぐが かってに うごいちゃ だめでしょ」
パンダは他の遊具が止めるのも聞かず、ぴょんぴょん跳ねて公園の外に出ていってしまいました。
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「まって まって」
「うわっ! パンダさん」
公園から帰る途中の男の子は、追いかけてきたパンダを見て驚きました。
「ねぇ、ぼくも いっしょに かえっていい?」
みんなが遊ぶのを止めてまで帰るのだから、楽しいことが待っているはず——パンダは子ども達を見てそう考えたのです。
「さあ はやく ぼくの せなかに のって」
パンダは男の子を背中に乗せると、ぴょんぴょん跳ねて家へと向かいます。
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電信柱の上にぴょーーんと跳ねたり、階段をぴょんぴょん跳ね上がったり、男の子は大喜びで、パンダもドキドキワクワクしました。
家に帰り着くと、もっと楽しいことが待ってるはず。パンダは知らない世界に期待を抱きますが……

夕方になると遊ぶのをやめて家に帰る子ども達の姿を見ていた公園の遊具のパンダは、「遊ぶのをやめてまで帰るには、よほど家に帰ると楽しいことがあるに違いない」と思い、男の子と一緒に家に帰ることに…。
初めて公園(自分の家)の外に出たパンダの気づきを通して、普段、当たり前に行っていることの大切さや意味に気付いてもらえればと思いながら書きました。
nakabanさんの絵が、帰宅時どこからか漂ってくる夕食の匂い、子どもの頃の記憶を蘇らせてくれました。
親子はもちろん、大人の方にも楽しんでもらいたい絵本です。