この絵本の内容紹介
江戸時代のお話。広村という小さな村に五兵衛というおじいさんが住んでいました。五兵衛さんの家は海を見下ろす小さな高台の端に建っていました。
ある秋の夕方、五兵衛さんは微かに地面が揺れるのに気づきました。長い、のろい、ふんわりとした地震でしたので、村の人たちは何事もなかったかのように過ごしています。五兵衛さんがなんとなく海を見ると、波が沖のほうへ退いていき、海の底が現れました。
五兵衛さんは自分のおじいさんから子どもの頃に聞いた話を思い出します。五兵衛さんはたいまつに火を着けると、田んぼにある稲むらに火を着けはじめました。
とても大切な、米の付いた稲むらです。山寺の小僧が火に気づき早鐘を鳴らしました。この音を聞いて高台の火に気づいた村人たちは、慌てて高台に上ってきました。しかし、集まった村人たちは、何が起こったのかわかりませんでした。
そのとき、巨大な津波がやってきて、村は瞬く間に消えてなくなってしまいました。それを知らせるために稲に火をつけたのだと気づいた人々は、五兵衛さんの前にひざまずき、深々と頭を下げました。
この物語は実話を基にして描かれたお話です。昔から伝わる津波の恐ろしさと、津波が起きたときにはどうすればよいのかがわかる絵本です。