この絵本の内容紹介
「わたし うみに いったのよ
この ぼうしを かぶってね」
絵本「おうさまのたからもの」で一躍人気を博した糟谷奈美(かすやなみ)がおくる待望の第二作!
真っ白な部屋に
色あざやかなチェックのワンピースを着て
こんがりと日焼けした少女がひとり
麦わら帽子に残る潮風の香り
耳にあてた青い巻貝に残る潮騒の音
この夏、海に行ったことを思い出していると…
いつのまにか帽子の網目から星がキラキラと浮かび上がり
目の前には青々とした夜空と海が大きく広がり
青い貝殻から「ぴゅうう ぴゅうう」と海風の音がして……
満天の星や、金色に輝くお月様、それに何かと気の利く小さな赤いカニなど
次々とあらわれる魅力的な〝共演者“たちにいざなわれて…
少女がたどりついた先には、光を失ってしまった灯台が!
小さな女の子の心にやさしく残る海の記憶を、作者が前作「おうさまのたからもの」で多くの読者の支持を得た明るい輝きに満ちた色彩、そして前作にも増して物語の世界を大きく飛躍させるファンタジックなイラストレーションで描いた一冊の絵本は、現実の世界を軽々と飛び越え、読者をひととき不思議な夢の世界へといざないます。こどもたちの心に残る心象風景はいつもとても自由です。
時には記憶や言葉、理屈をも超えて、その人自身が思ってもいなかったような遥かな夢や、わくわくするような希望の世界へと、こどもたちを解放して、いざなってくれることがあるのです。
こどもたちと一緒にこの絵本を読むおとなたちも、ほんのひと時、言葉や論理を超えて、自由に五感を解き放ち、ほっとひと息、日常から離れて心を休めることができますように。