この絵本の内容紹介
桜は春を知らせるように満開に咲き誇ったと思えば、あっという間に散っていく儚い生命。そんな儚い桜と旅人のやりとりを通して生命が巡り巡ることを教えてくれる絵本です。
おさびし山に一本の桜の木がありました。
偶然通りかかった旅人は「ちらない花はあるのですか」と一本の桜に尋ねます。
桜は「さいた花はかならずちります」と答えます。
「ちった花はどこへいくのですか」っと続けて旅人が尋ねると、「あなたはどこへいくのですか」と桜が質問で返します。
「旅から旅へ・・・・。でもやがて旅をおえたらおうちに帰ります」と旅人は答えるのでした。
桜の花も旅人と同じで生命の旅を旅して再び生命のもとへ帰っていくのだと答え、おさびし山の一本の桜の木と旅人は再会を誓い合います。
時が経ち、旅人は旅を終えようと思い最後におさびし山の一本の桜の木に会いに行くことにします。でも、おさびし山に戻ってきた旅人はびっくり!桜の木はもうここにはありませんでした。
人々を魅了して儚く散っていくその桜の姿こそが侘び寂びの心を体現しているのかもしれませんね。そんな儚くとも美しい生命を通してだからこそ、生命が巡り巡ることが伝わってくるように感じます。
生き死に関わらず、別れとは出会いへの始まりなのかもしれません。春といえば出会いと別れの季節。嬉しくも寂しくもある目まぐるしい季節だからこそちょっと立ち止まって読んでみてほしい絵本です。
旅人は桜の木と再会することはできたのでしょうか。姿形は変わっても生命が巡り巡って再会するという穏やかで神秘的なお話です。