この絵本の内容紹介あらすじ

ともだちだからって いつも なかよしで いられない

いつもは仲良し、でもちょっとしたことでぎくしゃくしてしまこともあるのが友だち。
うまく気持ちを伝えられない少女二人の気持ちのすれ違いと仲直りを描く友だち絵本。

わたし(さくら)とゆうちゃんは毎朝一緒に登校をする仲良し。

学校の写生会の絵を一緒に仕上げていたとき、わたしの大切なくれよんをゆうちゃんが折ってしまいます。

ぎくしゃくするふたりの関係。
数日後、クラスで、ゆうちゃんの絵をコンクールに出すと、先生が発表したとき、ゆうちゃんは絵を出したくないと伝えます。
そのとき、わたしは、ゆうちゃんが自分の気持ちを思ってくれていることに気づいたのでした。

わたしは、いつもは出せない大きな声で、自分の気持ちを伝えます。そのことでふたりの絆は、少し強くなったのでした。

普遍的なテーマと読み応えあるストーリー展開。

登場人物は、内向的な子(わたし)と、比較的外交的な子(ゆう)のふたりです。

わたしの視点で物語は進行しますが、ふたりが、小さな事件を通して相手の気持ちをより深く考えた行動にでるという成長を見せます。
読者は、絵本から、自分と友だちのとの関係へと思いを巡らせてくれることと思います。

作者のことば/かさいまり

さくらちゃんは 1本のくれよんを きっかけに 自分のなかに 違う自分を 見つけた。
小さな心に 生まれた とまどい。
ちょっと いじけて ちょっと いじわるして――
自分で 自分の気もちを もてあます。

友だちと いることは うれしいことばかりじゃない。
つらくなったり さびしくなったり くやしくなったり。
いろんな気もちが うまれる。
でも 心が ゆれることは とても 大切なこと。
友だちが いるから 自分のことが わかる。

自分を げんきにする。
自分を きらいに ならない。
それには 勇気が 必要なときもある。
そうやって 立ち止まっては 一歩前に 進んでいく。
大人も 子どもも みーんな そのくり返し――。

画家のことば/北村裕花

さくらちゃんの立場にも、ゆうちゃんの立場にもなったことがあるなあ、と子どもの頃をちょっと切なく思い出しました。
すっかり感情移入して、どきどき。
二人の複雑な気もちが見え隠れする表情を描きたい、そこを大切にしました。

絵本「くれよんがおれたとき」の一コマ