この絵本の内容紹介あらすじ

ある貧乏寺の和尚さんは、とら毛の猫を「とら」と呼び、かわいがっていました。ところが、とらは夜中になると必ずいなくなるので、不思議に思った和尚さんは、ある晩、こっそりあとをつけました。すると、こわれかけた古寺でたくさんの猫と歌ったり、踊ったりと酒盛りをしていました。それを見ていた和尚さん。うっかりくしゃみをしてしまうと……あっという間に猫たちは逃げてしまいました。翌朝、とらは今まで大事にしてくれたお礼をいい、「二、三年すると、隣村でお葬式があります。その途中で、私が棺おけを空へ巻き上げますから、このお経を唱えてください。そしたら、棺おけをおろしましょう」と不思議な予言をし、どこかへ行ってしまいます。そして、二、三年が経ち、とらの予言どおり、隣村で葬式が行われることになりました・・・・・・。

本書は、昔話研究の第一人者である小澤俊夫氏を著者に迎え、昔話の理論や法則、構造や語り口(文体)などをきちんとふまえ、昔話を正統的に伝える絵本シリーズの第三弾です。金井田英津子氏の、繊細かつ緻密な水彩画により、昔話の世界がみごとに立ち上がってきます。目の肥えた大人までもが楽しめる、新しい昔話の表現を追及した本格派の昔話絵本です。

絵本「とら猫とおしょうさん」の一コマ