この絵本の内容紹介
「あのおねえさんが、つかっているのは なに?」
「みちゃだめよ」
ゆうこさんがベンチに座って本を読んでいると、親子の会話が聞こえてきました。
そして、今度は別の親子の声が……
「おとうさん、あれ なに?」
「なんだろう。おねえさんに きいてみたら?」
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先ほどの親子とは違う反応です。声が聞こえた後、ゆうこさんのところへ男の子が近寄ってきました。
「ぼくは はやた。それは なんですか?」
「こんにちは わたしは ゆうこ。これは ルーペ。これで ほんを よんでいるの。ルーペは いろんなものを おおきくみせてくれる どうぐよ。わたしは めが よくみえないの。でも このルーペが あれば こんな ちいさなもじだって……」
そう言って、ゆうこさんが本にルーペをかざすと――
「わあ でっかい」
はやた君はびっくり。本の文字が大きく見えたのです。
ゆうこさんは、ルーペのおかげで沢山の本や新聞を読めるようになりました。また、一人で外国にも行けるようになりました。
はやた君は、ゆうこさんの話を聞いてルーペに興味津々です。
ルーペを覗くと不思議なことが!?
「ねえ そのルーペ かしてもらえますか?」
そう言って、はやた君はルーペを借りてお父さんを覗いてみると……子どもの頃のお父さんの姿が……近くには車椅子の女の子の姿も……。
近くのおばさんを覗いてみると、おばさんの過去が――。ゆうこさんを覗いてみると、ゆうこさんの過去が――。不思議なことに、ゆうこさんのルーペを覗くと『過去』が見えたのです。
果たして、その過去の内容とは?
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このお話は、絵本の主人公:芳賀 優子さんが実際に体験したことから着想を得て構成されています。そのエピソードや感じたことが巻末の『読者のみなさんへ』で綴られています。
2年前のある土曜日、私はいつものように電車に乗って本を読んでいました。とちゅうから小学生の男の子が乗ってきて、私のとなりに座り、ルーペに興味を持ってくれたのです。
男の子のお父さんは「おばさんに聞いてみたら?」と、その子にいいました。私はとてもうれしくなりました。私のことを、見ないでおこうという人は多いのですが、見ないふりをしないどころか、ルーペに興味を持って、ちゃんと聞いてくれたからです。
出典:ゆうこさんのルーペ/合同出版
ルーペは物を見るための道具であると同時に、芳賀 優子さんにとっては『あなたと私の間の壁を取り払ってくれる魔法の宝物』なのです。
巻末目次
- 読者のみなさんへ(原案:芳賀 優子)
- 「それなあに?」と声をかけて(編集協力:星川 安之)
- みんなおなじならつまらない(編集協力:海老原 宏美)
- 大人のみなさんへ(監修:藤井 克徳)