この絵本の内容紹介
ホコリだらけの屋根裏部屋に、ねずみの夫婦が住んでいました。その夫婦には一人息子もいて、名前はマシューといいました。
マシューは、屋根裏部屋の片隅で、ガラクタに埋もれて暮らしていました。新聞や壊れたランプや哀れな人形……あらゆるものが積み重なっていたのです。
——ねずみ一家はとても貧乏でしたが、マシューに大きな望みをかけていました。大きくなったら、医者にでもなってほしいと願っていたのです。
けれども、マシューは少し違う考えを持っていました。何になりたいかを尋ねられると、こう答えるのでした。
「わかんない…… ぼく せかいって いうものを みたいんだ」
初めての美術館
ある日のこと。マシューは、社会科見学で初めて美術館へ行くことになりました。そして、美術館に展示された絵画を見て、驚きを隠せませんでした。
将軍みたいな服を着たねずみ、美味しそうなチーズ、風に揺れる木の枝……。
——美術館は、まるで世界を凝縮したような空間。マシューにはそう感じられたのです。
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気づけば、マシューは夢中になって絵画を見て回りました。そして、一匹の可愛いねずみと偶然の出会いがありました。名前はニコレッタといいました。
マシューの夢は画家
美術館に行った日の晩、マシューは不思議な夢を見ました。ニコレッタと手をつなぎながら、絵の中の世界を歩いていたのです。それは幻想的で、これまでに感じたことのないほど幸せなものでした。
けれども、ハッと目が覚めると、現実に引き戻されました。目の前にはガラクタの山があるだけ……。見慣れたはずの光景を見ながら、マシューは目に涙を浮かべました。
ところが、魔法のような不思議な出来事が起こりました。目の前の光景が、突然と違うものに見え始めたのです。ガラクタの山は鮮やかに色づき始め、輪郭が滑らかな曲線へと変化していきました。
こうして、マシューは何かを閃くと、両親のところへ駆けて行き……。
ピクトブック編集部の絵本談議
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感受性をくすぐるような物語だね。
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うんうん。
なんだか美術館に行きたくなったよ!
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もちろん現実も大事だけど、想像の世界も大切にしたくなるよね。
今回の絵本は絵画をテーマに描いているけど、音楽をテーマにした「おんがくねずみ ジェラルディン」も合わせて読むとさらに面白いかも!