この絵本の内容紹介
虹ヶ池の真ん中に小さな島がありました。岸にはスベスベの小石が並び、陸にはシダや雑草が生い茂っています。
そんな島で暮らすのは、喧嘩好きの3匹のカエルです。名前は、ミントンとルーパートとリディア。この3匹のカエルは、明け方から夕暮れまで喧嘩三昧の毎日です。
ルーパートとリディアが池に飛び込もうとすれば、「いけに はいるな!」とミントンが叫び、自分の池だと主張します。
ミルトンとリディアが陸に上がろうとすれば、「しまから でていけ!」とルパートが怒鳴り、自分の地面だと主張します。
リディアは蝶々を追いかけながら、「わたしの くうきよ!」と喚きながら主張します。
そんな調子の毎日ですが、ある日、大きなヒキガエルが島を訪ねてきました。このヒキガエルは3匹のカエルに腹を立てています。「ぼくのだ!わたしのよ!」という金切り声が昼も夜も響いて、心休まる暇がないと言うのです。「いいかげんに やめてくれんか!」と忠告して帰って行きました。
ところが、3匹のカエルは聞く耳を持たず、またすぐに言い合いを始めました。ミントンが大きな虫を見つけると「これは ぼくのだ!」と主張し、「むしは みんなの ものだ!」と言ってルーパートとリディアは後を追います。
そうしていると、突然、雷が鳴り響き、滝のような大雨が降り始めました。池は溢れ出し、島は水に飲まれて段々と小さくなっていきます。3匹のカエルは、言い合うこともすっかり忘れて、恐ろしさに震えるばかりです。
それぞれの石に掴まって耐え凌ぐものの、やがてその石も水に飲まれてしまいます。残ったのは、たった一つの岩だけ。3匹のカエルは、寒さと恐さに震えながら、その一つの岩にしがみつきました。
すると不思議なことに、3匹のカエルは元気を取り戻していきます。みんな同じ気持ちで耐えていると思えば気が和らいだのです。
この体験を通して、3匹のカエルに心境の変化が訪れるのですが、一体どのように変わったのでしょう。
「ぼくのだ!わたしのよ!」という言い合いは、子どもの喧嘩で見かけやすいものです。ところが、私たち大人も同じようなことがあるのではないでしょうか。言葉には出さずとも、心の中だったり、別の方法でその主張を行なったことがあるはずです。
この絵本の翻訳を担当した谷川 俊太郎氏は、カエルが人間の世界に引き込まれたような物語だと回顧します。
この物語をとおして、みんなで分かち合うことの素晴らしさを感じられることでしょう。