この絵本の内容紹介あらすじ

うさぎ達が暮らすのは、世界で一番美しい庭。そして、そこで暮らす二匹の子うさぎは、世界で一番幸せでした。

ある日、年寄りうさぎが二匹の子うさぎを呼んで、しわがれた声でこう言いました。

「わしは しばらく るすにする。いたずらするなよ。そして おぼえとくんだ。 —— にんじんは すきなだけ たべていい。だが りんごに てだしは しないこと。でないと きつねに やられるぞ」

二匹の子うさぎは、年寄りうさぎの言いつけを守って暮らします。目一杯遊んでは、人参を掘り出して食べ、目一杯遊んでは、人参を掘り出して食べ・・・。ところがそうするうちに、どこを掘っても人参が見当たらなくなってしまいました。二匹の子うさぎは、庭の人参を食べ尽くしてしまったのです。

二匹の子うさぎが途方に暮れていると、リンゴの木から何かリンゴではないものがぶら下がっていることに気づきます。それは、大きくて見事な人参のよう。二匹の子うさぎは夢中で飛びつきました。

ところが、その正体は一匹の大きなヘビ。二匹の子うさぎが人参だと思って飛びついたのは、ヘビの尻尾の先だったのです。

「しっぽの さきを にんじんだと おもったんです。おなかが ぺこぺこなのに にんじんが どこにも みつからないんです」

絵本「うさぎたちのにわ」の一コマ

二匹の子うさぎは、ヘビに謝ってから弁明しました。すると、ヘビは人参の代わりにリンゴを差し出しました。

二匹の子うさぎは、年寄りうさぎの言いつけを守るつもりでいましたが空腹には敵いません。目の前に真っ赤で美味しそうな匂いのリンゴを出され、ついつい食べてしまうのでした。

見た目とは裏腹に温厚なヘビ。二匹の子うさぎのお腹が満たされると「さあ あそぼうよ!」と誘いました。

それ以来、二匹の子うさぎとヘビはすっかり仲良し。ヘビが様々な遊びを発見しながら、三匹は毎日楽しく遊びました。そして、二匹の子うさぎがお腹を空かせると、ヘビは一番熟れたリンゴを取ってくれるのでした。

そんなある朝、二匹の子うさぎがハッと目を覚ますと、草むらから大きな赤ギツネが様子を窺っていました。この事態に、二匹の子うさぎは一瞬固まってしまいますが、一斉にその場から逃げ出しました。

赤ギツネはその後を追いかけ、二匹の子うさぎとの距離はもう間近です。あわや捕まってしまいそうになったそのとき、目の前には口を大きく開けたヘビが待っていました。二匹の子うさぎは何かを察知すると、迷うことなくヘビの口の中に飛び込み……。


ヘビの印象と言えば、ずる賢くて陰湿。そう感じてしまう方も多いことでしょう。ところが、この物語に登場するヘビは愉快で温厚な性格です。

ヘビの中に飛び込んだ二匹の子うさぎはどうなってしまったのでしょう。その結末に、何か大切なことを教えられるようです。誰かを噂や見た目で判断してはいけない。そんなメッセージが込められたかのようなお話です。

この絵本の翻訳を行った谷川 俊太郎氏は、レオ=レオニの物語の世界には一貫したものがあると言います。それは、どのお話であっても、いつも私たち人間の生きている現実に根を下ろしているということ。レオ=レオニの絵本の主人公は、いつもほんの少しずつ私たち自身のよう。彼等の賢さや愚かさには、どこか他人事とは言えない部分を含み、そこに私たちは親近感を抱いてしまうようだと言います。