この絵本の内容紹介
オウムは緑色、金魚は赤色、ゾウは灰色、豚は桃色。このように、動物はそれぞれ自分の色を持っています。
ところが、カメレオンは違うのです。レモンの上では黄色、ヒースの茂みでは紫色、虎の上では虎そっくりの縞模様。行く先々で体の色が変化します。
カメレオンの運命
「もし ずうっと はっぱの うえで くらしたら いつまでも みどりいろ,ぼくも じぶんの いろを もてるって わけだ。」
ある日、一匹のカメレオンが独り言を呟きました。そして、緑色の葉っぱによじ登ると、体はあっという間に緑色に——。
ところが、秋になると葉っぱの色は黄色に変わり、カメレオンの体も黄色になってしまいました。
さらには、秋が深まると葉っぱは赤く染まり、カメレオンの体も赤色になってしまうのでした。
しまいには、冬の風が、葉っぱもろともカメレオンを吹き飛ばしてしまったのです。
そうして夜を迎えると、カメレオンの体は真っ黒でした。
自分だけの色がなくても……
それでも春が来れば、カメレオンの体にも鮮やかな色が戻ってきます。
カメレオンは、緑色に生い茂る草の中へと入っていきました。
そして、そこでもう一匹の年上で賢いカメレオンと出会いました。
「ぼくらは どうしても じぶんの いろを もてないんだろうか?」
カメレオンは、もう一匹のカメレオンに身の上話をしました。
すると、もう一匹のカメレオンは「ざんねんながらね,」と含みを持たせ、ある提案をするのでした。
ピクトブック編集部の絵本談議
自分が自分であるってどういうことだろうね。
自分だけの個性や特徴があるのもそうだと思うけど、誰かと一緒にいることで自分が自分でいられることもあると思うよ。カメレオンの提案には、そう言ったメッセージが詰まってると思うんだ。
うんうん。
一人で力強く生きていくのもすごいけど、誰かと寄り添って生きていくのも素敵だね!