この絵本の内容紹介
ある森の池でのこと——
一匹のオタマジャクシと一匹の小魚が仲良く暮らしていました。
そんなある朝、オタマジャクシに二本の小さな足が生えていました。昨日までは小魚と同じような姿だったのに、オタマジャクシは突然と変化したのです。
……小魚は目の前の状況が信じられませんでした。
「かえるは かえる さかなは さかな そういうことさ!」
オタマジャクシは自慢げな様子でそう言いました。そして、何週間か経った頃には、すっかりカエルになっていました。
ある日、カエルは水の中から陸に上がると、どこかへ行ってしまうのでした。
陸の世界は素晴らしい!?
いつの間にやら小魚もすっかり大きくなりましたが、それまでの間、カエルが帰ってくることはありませんでした。魚は何かにつけてカエルのことが気になっていました。
そんなある日——
カエルが嬉しそうに森の池に帰ってきました。あちらこちらを巡っては、知らない世界を見てきたと言うのです。魚は夢中でカエルの話に耳を傾けました。
——翼を持った色鮮やかな鳥、ピンクのミルク袋を持った牛、洋服を着飾った人間……。不思議な話を聞くうちに、魚はカエルが羨ましくなりました。
「ああ,ぼくも あいつみたいに とびまわって,すばらしい よのなかを みられたらなあ。」
魚の心の中は、光や色や驚くようなもので溢れました。カエルの話を聞いた夜、魚は眠ることができませんでした。
水の世界はみすぼらしい!?
月日が流れても魚は陸の素晴らしい世界を夢見続けていました。そしてある日、魚はとうとう決心すると、陸へ跳び上がりました。
ところが……
息も出来ず、動くことも出来ず、そこには苦しみがあるだけ……。魚は絶体絶命の状況に陥りました。
それでも、魚は運良く一命を取り留めました。偶然にもカエルが居合わせ、池の中へ押し戻してくれたのです。
そうして魚は息を吹き返すと、素晴らしい世界にようやく気づきました。息が出来る——自由に動ける——そして、目の前には幻想的な光景が広がっている——魚にとって池の中はどこよりも美しい世界だったのです。
ピクトブック編集部の絵本談議
自分の知らない世界って輝いて見えちゃうよね。無い物ねだりというか……。
うんうん。
自分の置かれた環境が劣っているように感じることもあるよね。
でも、この魚を見ているといろいろ感じることがあるよ!
自分の住んでいる世界にも目を向けてみたほうがいいのかも。きっと、気づいてないだけで素敵なことが溢れてるんじゃないかな。
そうだよね!
なんだか改めて自分の周りを見つめ直してみたくなったかもな!