この絵本の内容紹介
牧場に沿って古い石垣が積まれています。五匹の野ねずみ達は、その石垣の中で暮らしていました。
ところが、百姓が引っ越してしまったので食料の貯えがありません。冬も間近に迫り、食料を集めなければなりませんでした。
そこで、野ねずみ達はトウモロコシと木の実と小麦と藁を集め始めました。昼も夜も一生懸命に働きました。
それなのにフレデリックだけは違います。他の仲間達がせっせと働く間、別のことをしていたのです。
フレデリックは言い訳ばかりで怠け者?
「フレデリック, どうして きみは はたらかないの?」
トウモロコシを運ぶ野ねずみ達は、日向ぼっこをするフレデリックに尋ねました。
すると、これでも働いているとフレデリックは言いました。寒くて暗い冬に備えて陽の光を集めていると言うのです。
「こんどは なに してるんだい, フレデリック?」
野ねずみ達は木の実を運びながら、牧場をジッと見つめるフレデリックに尋ねました。今度は灰色の冬に備えて色を集めているのだと答えました。
「ゆめでも みてるのかい, フレデリック。」
野ねずみ達は小麦と藁を運びながら、フレデリックに少し腹を立てていました。みんなが一生懸命働いているというのに、今にも眠りそうな虚ろな目をしていたからです。
ところが、フレデリックは眠っているわけではありません。長い冬に備えて、話が尽きないように言葉を集めていると言うのでした。
冬の到来
とうとう雪が降り出すと、野ねずみ達は冬ごもりを始めました。準備の甲斐あって、石垣の中は暖かく、食料も豊富です。
お喋りな野ねずみ達は、馬鹿なキツネの話をしたり、間抜けな猫の話をしたりして楽しく過ごしていました。
ところが、日が経つにつれ、貯めていた食料は減っていき、暖を取るための藁は底を突いてしまいました。石垣の中は凍えるほど寒く、お喋りする気にもなれません。
そんなとき、野ねずみ達が思い出したのはフレデリックの集めていたもの。光や色や言葉です。
フレデリックの真意
「きみが あつめた ものは, いったい どう なったんだい, フレデリック。」
そう尋ねられたフレデリックは「めを つぶって ごらん。」と言いました。そして「きみたちに おひさまを あげよう。」と話し始め……。
ピクトブック編集部の絵本談議
フレデリックは怠け者かと思ったよ。実はそうではなかったんだね。
そこがこの絵本の一番大事なことかも!
お話自体も読み応えがあるけど、何か深いメッセージが伝わってくるよね。
うんうん。
無価値と思われることの中にも、本当は価値あることが埋もれてるんだろうな。
みんな一緒に働くことも大切だけど、違う方法で役に立つのも大切なんだね。
いやー、次の展開が気になるね。どうなるんだろう?
それは読んでみてのお楽しみ!
というわけで今回は、絵本「フレデリック」のご紹介でした!