この絵本の内容紹介
リンゴの木と少年はお互いに気持ちを通わせる友達でした。
リンゴの木は少年のことが大好き。少年もリンゴの木のことが大好きでした。
少年はリンゴの木を登ったり、かくれんぼをして一緒に遊びました。
でも、少年は大人になるにつれてリンゴの木から遠ざかっていきます。
ところがある日——
青年になった少年は「物を買うのにお金が必要だ」と言ってリンゴの木を訪ねます。
リンゴの木は少年のことが大好きなので、自分に生ったリンゴを街で売るように言いました。
その言葉を聞いて、少年はありったけのリンゴを持って行きました。
それからさらに月日が流れたある日——
大人になった少年は「ぼくに家をちょうだい」と言ってリンゴの木を訪ねます。
リンゴの木は少年のことが大好きなので「わたしの枝を切って家を作るといいわ」と言いました。
その言葉を聞いて、少年はありったけの枝を持って行きました。
ある日——
さらに歳を重ねた少年は「遠くに運んでくれる船をちょうだい」と言ってリンゴの木を訪ねます。
リンゴの木は少年のことが大好きなので、自分の幹を切って船を作るように言いました。
その言葉を聞いて、少年は幹を切り倒し持って行きました。
そして、さらに月日が流れたある日——
老人になった少年は「腰をおろして静かに過ごせる場所があればいいんだ」と言いました。
すると、リンゴの木は少年のことが大好きなので、自分の古い切り株に腰掛けるように言いました。
そうして、リンゴの木は幸せでした——。
訳者である村上春樹氏は、この物語で何を感じるかは自由だと言います。
子どもへ無償の愛を注ぐお父さんやお母さんとリンゴの木を重ねてしまうような物語ですが、みなさんは何を感じたでしょうか?
「物語は人の心を映す自然の鏡のようなものなのです。」と村上春樹氏が言うように、今のあなたの心情をこの絵本は教えてくれるかもしれません。