この絵本の内容紹介
野ねずみ達が暮らす所に、壁が天高くそびえ立っていました。壁のなかった頃を、もはや誰も覚えていません。
壁の向こうに何があるのか。そもそも向こうなんてものがあるのか。野ねずみ達は、そんなことは気にしていません。
そこに壁があるのは当たり前で、壁なんか存在しないかのように日常を暮らしています。
そんななか、一番若いティリーだけは違いました。壁を見つめて、向こう側のことを考えました。
夜も更け、みんなが寝静まった後も、考えが止むことはなく、美しい不思議な世界を想像するのでした。
ティリーの決心と挑戦
「むこうがわを みなくちゃ だめよ」
ある日、ティリーは決心すると、友達と協力して壁を登ろうと試みました。
ところが、壁はどこまでも高く続いており、とうとう失敗に終わってしまいます。
それでも、ティリーは諦めません。錆びた釘を使って壁に穴を開けようと試みたり、壁の終わりを目指して何時間も歩いたりしたのです。
けれども、努力が実ることはありませんでした。そのどれも失敗に終わってしまったのです。
壁の向こうにあったものとは
そんなある日、壁の近くでミミズが地面を潜っていました。
それを見たティリーは、呆気に取られながらも、夢中になって穴を掘り始めました。
そうして掘り続けると、突然、眩しい光が差し込んだのです。ティリーは、とうとう壁の向こう側に辿り着いたのでした。
ティリーが壁の向こう側で見たものとは、一体何だったのでしょう。
ピクトブック編集部の絵本談議
なんだか他人事とは思えない気持ちがしてくるね。『当たり前』を無条件に受け入れてしまっているような気がしてきたよ。
うんうん。
この物語の壁みたいなものが、日常にも転がっているはずだよね。仕事や育児、常識や決まり事、いろんなことに思いを巡らせてみれば、何か違和感が見つかるかも。
良いこと言うね!
ティリーの挑戦する姿は、その違和感と向き合う機会を与えてくれるはずだよね。