この絵本の内容紹介
「今日は晴れる」
お父さんは言ってたのに窓の外は雨模様。
「大人の言うことは結構外れるな」
女の子は渋い顔を浮かべます。
そこにお兄ちゃんが帰ってきて、突然、未来が大変だということを女の子に話し始めるのです。
友達が大人から聞いたという話では、例えば、人が増え過ぎて食べ物がなくなったり、病気が流行ったり戦争が起きたり、宇宙人が攻めてきたり……。
自分たちが大人になるころには大変なことしかないのだとお兄ちゃんが言うので女の子は驚きを隠せません。女の子は意気消沈しておばあちゃんに相談するのでした。
ところが、おばあちゃんは女の子の話を聞くと、「だーいじょうぶよ!」と満面の笑みで楽観的な様子。未来がどうなるかは誰にもわからないし、大変なことだけじゃなくて楽しいこともたくさんあるのだと言います。
「未来はきっとこうなるからこうするしかない」と大人は言うけれど、たいていは当たらないのだとおばあちゃんは言います。
お父さんが「今日は晴れる」と言っていたのに雨だったことを思い出した女の子は、おばあちゃんの話に妙に納得してしまいます。
それから、「これとこれどっちにする?」と大人は言うけれど、選択肢はそれだけではないのだと、それしかないわけがないのだとおばあちゃんは話を続けます。
その話を聞いた女の子は、未来がどうなるかを次から次へと妄想します。例えば、毎日ウィンナーが食べられる未来、一日中パジャマでもいい未来、毎週土曜日はクリスマスの未来、ロボットが抱っこしてどこへでも連れて行ってくれる未来……。
いろんな未来を考え始めると、女の子の妄想はさらに広がっていくのです。
例えば、小さくて履けなくなった靴の未来は捨てられて終わりかもしれませんが、植木鉢として再利用することもできるのです。嫌いな人参を残すしかないのかと思いきや、大人になって偉くなって、そもそも「人参禁止」の法律を作ればいいのです。
「それしかないわけないでしょう」って面白いと気づいた女の子は、いろいろな考え方があっていいのだと感じ始めるのでした。
「好きか嫌いか」「良いか悪いか」「敵か味方か」と聞かれることがありますが、どちらかの答えしかないわけがないのだと女の子は考えるのです。
ユーモアたっぷりの愉快で楽しいお話ですが、それだけでなく哲学的な要素も含んでいます。ワクワクするような女の子の未来の妄想を描きつつも「それしかないわけないでしょう」という多様性のある考え方を描き出します。