この絵本の内容紹介あらすじ

森に住むキツネは、仲間の動物達と仲良く暮らしていましたが、だんだんと年を重ねるうちに体は少しずつ弱ってきました。

ある日、森の空き地へキツネはひとりで出掛けていきました。
この空き地はキツネにとってお気に入りの場所。大好きな森の景色を眺め、それから体をそっと横たえました。

キツネは瞼を閉じてゆっくりと息を吐くのですが、それから二度と瞼を開くことはありませんでした。キツネは自分の死が近いことを悟っていたのです。

絵本「いのちの木」の一コマ

静かな森の空き地では、雪がちらちら舞い始め、横たわるキツネに優しく降りかかります。そんな様子を木の上から眺めていたのはフクロウです。枝から飛び降りるとキツネに寄り添って座りました。

別れの日が近いことに前々から気づいていたフクロウですが、それでも悲しみで胸がいっぱい。キツネとは長年の親しい友達だったのです。

リスやイタチ、クマやシカや鳥、ウサギやネズミもやってきて、キツネのまわりに座りました。森の動物達は、いつも親切で思いやりのあるキツネのことが大好きでした。

動物達は言葉を失ってしまい、黙ったまま座りこんでいましたが、ようやく口を開いたのがフクロウ。

「キツネと ぼくが まだ わかかったころの はなしだね。あきになると、どっちが たくさん おちばを ひろうかって、よく きょうそうをしたもんだ」

フクロウとの思い出を聞いた動物達に優しい笑みが溢れます。他の動物達もそれぞれの胸にキツネとの思い出が浮かんできたのです。

続けてネズミやクマやリス達がキツネとの穏やかで楽しい思い出を分かち合います。すると、キツネが横たわる雪の下からオレンジの芽が誰も気づかないうちに芽吹いたのです。

絵本「いのちの木」の一コマ2

最初は誰も気づかないほどの小さな芽だったのですが、動物達がキツネとの思い出を分かち合うたびに少しずつ少しずつ成長していくのでした。そして、動物達が夜通しキツネとの思い出を分かち合っていると……。


雪化粧の森の世界に動物達の温かな思い出が広がります。動物達の思い出に呼応するように成長するオレンジの木は、どこまで大きくなるのでしょうか。