この絵本の内容紹介
「ねえ、ママ、これ よんで」
その男の子の「おやすみなさい」をいう前は、お気に入りの1冊の絵本を、お母さんに読み聞かせしてもらうことってきまっています。
大好きな絵本を、大好きなひとのそばで、大好きなひとの声で楽しむことのあたたかさ…。
寝しなの至福のときがもたらす、たいせつなたいせつな空間が、やわらかく広がっています。
一回読んだ本を、毎日読む…
大人にとっては、 時として、それは退屈だったりめんどうくさかったりすることもあるかもしれません。
けれど、こどもが、一度お気に入りにしたものは、どれほどくりかえそうと、安心感がプラスされた、けれど鮮やかさがあせないものとして在るようです。
こちらのお母さんも、そんなこどもと同じ視線で向きあっています。
(すばらしいです…見習いたいと担当編集者は思います…)
冬ごもりをするくまを起こさないように、「しいーっ」とお母さんの声を小さくするように頼む男の子。
寒そうな画面のあとは、あたたかいおかあさんの胸を求めます。
絵もぜひじっくりご覧になってください。
きっと、発見がたくさんあるでしょう。
たとえば、きっと毎日触っているだろうからこそ、かすれてしまっている絵本のなかのくま…。
絵は、『リサとガスパール』『ペネロペ』で大人気のゲオルグ・ハレンスレーベン。
実力がよくわかる作品です。
ケイト・バンクスのやさしい世界を、肥田美代子のやわらかく味わい深い日本語が広げます。
男の子からみ魅力ある熊に、まるで王冠をかぶせたような、ビビッドな表紙をぜひひらいてください。
「おやすみなさいのとき」の、みなさんのおともだちに、なりますように……。

