この絵本の内容紹介
星降る夜に生まれた子犬ステラ(星を意味する)は、盲導犬として育ちます。
そして、2歳になった春の日、ステラはあかねさんと出会うのでした。
あかねさんは、2年前に交通事故で目が不自由になりました。
ステラの仕事は、目が不自由なあかねさんを守ること。アパートと仕事場を一緒に行き来する日々が始まりました。
最初はぎこちなかった関係ですが、夏も中頃になると、ふたりの間に信頼関係が芽生え始めます。ステラは信頼されていることを実感すると嬉しい気持ちで尻尾を大きく振るのでした。
ステラの盲導犬としての一日は、あかねさんにハーネス(盲導犬につける持ち手のついた胴輪)をつけてもらうところから始まります。そして、「ステラ、ゴー!」の力強い言葉を合図に、あかねさんを怪我させないように歩きます。ステラが曲がり角や階段があることを知らせると「グーッド、ステラ!」とあかねさんが褒めてくれ、ステラはその言葉を聞くたびに幸せな気持ちでいっぱになりました。
あかねさんに褒めてもらうことも幸せなことですが、ステラにはもう一つ幸せな瞬間がありました。それは、ベッドの下であかねさんの微かな寝息を聞きながら目を閉じる瞬間。ステラにとってこの瞬間は、今日も大切な人を守り通すことができたのだと実感できるひとときなのです。
あかねさんとステラの幸せな毎日もいつかは終わりのときがやって来ます。誰しも老いには敵わないのです。ステラが10歳になったころ、ときどきミスをするようになりました。ミスをするたびにあかねさんは、優しい笑顔で「ドンマイ、ステラ!」と励ましてくれます。
ある日、あかねさんが訓練所に相談したとき、「そろそろ引退の年ですね」という言葉をステラは耳にします。それでも大好きなあかねさんのそばを離れたくなかったステラは一生懸命に頑張ります。ところが、焦れば焦るほどミスは増えていき、あかねさんの「ドンマイ」という励ましも小さく寂しそうになっていくのでした。
ステラとあかねさんの友情を描いた出会いと別れのお話です。ステラの最後の「そっと いちどだけ」の願いが胸を締め付けられる感動の作品です。