この絵本の内容紹介あらすじ

大昔のお話です。あるところにプテラノドンのお父さんとお母さんがいました。

プテラノドンのお母さんが岩山のてっぺんにたまごを一つ産みました。そして、ある夜のこと、とっても可愛いプテラノドンの赤ちゃんが産まれます。

お父さんとお母さんは、赤ちゃんを大切に育てます。
お父さんは、赤ちゃんに強い子になるようにとの想いを込めて、たくさんご飯を食べさせます。
お母さんは、優しい子になるようにとの想いを込めて、抱っこして寝かせつけます。

お父さんは、暴れん坊で恐ろしいティラノサウルスから身を守れるようにと想いを込めて、空の飛び方を教えます。
お母さんは、困っているひとがいたらどんなひとでも助けてあげられるようにと想いを込めて、雨の日は子どもが濡れないように翼を広げ、身を挺して守ってあげます。

お父さんとお母さんが大切に育てたプテラノドンの子どもは大きく成長し、いよいよ独り立ちのときがやってきます。

とっても心配で悲しいことですが、お父さんもお母さんも子離れすることを決断します。
ある夜、子どもの寝顔を見ながら大事な決断をしたふたりは、大空へと飛び立っていきます。

朝、プテラノドンの子どもが目を覚ますと両親の姿がありません。ご飯でも探しに行っているのかなと思いましたが、待てど暮らせど戻ってくる様子はありませんでした。
そこで、大きな声で叫んでみますが反応はありません。泣き疲れたプテラノドンの子どもは眠ってしまいました。

すると、あの恐ろしいティラノサウルスが目をギラギラさせて岩山を登ってきます。今にも手を掛けられそうになったそのとき・・・・、近くの火山がドッカーンと噴火して、地震がグラグラ。
ティラノサウルスが岩山を転げおちると、地面に叩きつけられ岩の下敷きになってしまいました。

ティラノサウルスの様子をプテラノドンの子どもが見に行くと、とっても苦しそうな様子です。
「ティラノサウルスは暴れん坊で恐ろしいやつだ」とお父さんに教わっていたのでプテラノドンの子どもはどうしようか迷います。

ティラノサウルスの苦しそうな様子を見ていると、「困っているひとがいたら助けるように」というお母さんの教えを思い出し、助けることを決断します。

プテラノドンの子どもが恐る恐る近づくと、ティラノサウルスは目も怪我をして見えていない様子です。
しかし、「そこにいるのはだれだ?」っと気配を感じて気づかれてしまいます。
それに対してプテラノドンの子どもは、「ぼ、ぼくは、いや、おれはティラノサウルスだ」と、とっさに答えるのでした。

それからというもの、プテラノドンの子どもはティラノサウルスのふりをして来る日も来る日も看病にあたるのでした。

絵本「おれはティラノサウルスだ」の一コマ

ティラノサウルスはそれから元気になったのでしょうか。プテラノドンだと気づかれてしまったらどうなってしまうのでしょうか。
最後はちょっぴり切ないお話ですが、種族を越えたふたりの友情が感動的な素敵な絵本です。
困っている人に手を差し伸べる大切さや助けてもらったら感謝する大切さをそっと教えてくれるお話です。