この絵本の内容紹介
「きょうはがんばってゆきをぜんぶとかすぞ」と張り切るお日様が、原っぱを照らしながら昇ってきます。
ところが、原っぱを覗くとびっくり。昨日は雪だけだった原っぱに虹色の花が一輪咲いていたのです。
冬の間、虹色の花は、地面の下でずっと我慢していました。ところが、待ちきれずに出てきてしまったと言います。そして、お日様に会えた嬉しさを世界中に分けてあげたいと言うのです。
それから数日経ったある日、虹色の花のそばをアリが困った様子で通りかかります。
虹色の花が話しかけると、アリはおばあちゃんちに行くところだと言います。ところが、溶けた雪で原っぱに大きな水たまりができているので、どうやって渡ったらいいのか困っていたのです。
そこで、虹色の花は、もしかしたら役に立つかもしれないと、自分の花びらを一枚抜いて持って行くよう言うのでした。
その後、アリはオレンジ色の花びらを船にして、大きな水たまりを渡って行きました。
しばらく経ったある日は、困った様子のトカゲが虹色の花のそばを通りかかります。
虹色の花が話しかけると、パーティーに着ていくものがないので困っているとトカゲは答えます。
そこで、虹色の花は、花びらを一枚譲ることにします。緑色のトカゲは、赤い花びらを背中に掛けると、安心した様子でパーティーに出かけて行きました。
虹色の花は、夏になるとネズミの困りごとを解決し、秋になると鳥の困りごとを解決します。いよいよ冬が迫ったある日は、ハリネズミの困りごとを解決します。
ところが、寒くなるにつれて、虹色の花は弱っていきました。風の吹き荒れる日には、とうとう最後の一枚の花びらが風に引っ張られて飛んでいきます。
虹色の花は、茎が折れて、雪がしとしと降り始めると、最後は雪に埋もれてしまうのでした。
虹色の花はどうなってしまうのでしょう。最初は元気いっぱいの楽しいお話ですが、話が進むにつれて寂しいお話になっていきます。ところが、最後はとても素敵な展開が待っています。
この絵本をとおして、幸せを分け与える素晴らしさが伝わります。虹色の花のように、誰かに幸せを与えることは、きっと大切なことではないでしょうか。