この絵本の内容紹介
ぽんぽん山の上で四羽の子ウサギの兄弟が帰りの遅いお母さんを心配そうに待っています。お母さんウサギは山の麓の町に出かけて美味しい物を持って帰ってくるはずですが、なかなか帰ってきません。
大きな満月が空に昇ってくると、月にお母さんウサギの姿があったので子ウサギの兄弟達はびっくり。ウサギの兄弟達は、餅を突いて団子を作っているのではないかと考えます。
そんなウサギの兄弟の様子を木の陰から見ていたのは、ポンポン山に住む恥ずかしがり屋の山姥。
山姥は町の麓に団子を買いに行った帰り道、子ウサギの話し声に立ち止まってしまったのでした。そして、もしかしたらとため息を吐きました。山姥は町からの帰り道に一羽のウサギが猟師に撃たれたのを目撃したのでした。
お腹を空かせた子ウサギがお母さんに早く帰ってきてほしいと月に向かって話しかけるのを見た山姥は、胸が締め付けられる想いでいっぱいです。そして、抱えた団子を草の上にそっと置くと夢中で逃げ出しました。
その様子を木の上から見ていたのが風の子です。恥ずかしがり屋の山姥が恥かしがりながらもようやく団子を買えて嬉しそうにしていたのを見た風の子は、嬉しくなってついてきたのです。
風の子は山姥を急いで追いかけると、団子を見つけて美味しそうに食べる子ウサギの嬉しそうな声を風に乗せて聞かせます。その声を聞いた山姥は、悲しみで押しつぶされそうな気持ちが和らぐのでした。
不安や悲しみ、安心や喜び、様々な心情を繊細に描いた悲しくも温かいお話です。