この絵本の内容紹介あらすじ

あるところに一軒の小さな家がありました。そこに住むのは、98歳のおばあさんと一匹の猫です。

絵本「だってだってのおばあさん」の一コマ

猫は帽子を被って、長靴を履いて、釣竿を持って、魚釣りに行くのが日課。「おばあちゃんも さかなつりに おいでよ」と猫は毎日誘いますが、「だって わたしは 98だもの、98の おばあさんが さかなつりを したら にあわないわ」と返事はいつも同じでした。

絵本「だってだってのおばあさん」の一コマ2

猫が魚釣りに出掛けると、おばあさんは窓の下に腰掛けて、畑で獲れた豆の皮を剥いたり、お昼寝をしたりしました。「だって わたしは 98だもの」が口癖のおばあさんは、いつでもおばあさんらしい振る舞いです。

そんなある日、おばあさんは99歳の誕生日を迎えました。「おばあちゃんは ケーキを つくるのが じょうずなものよ」と言ってケーキ作りに専念します。そして、99本のロウソクを買ってくるようにと猫にお願いしました。

ところが、ロウソクを買いに行った猫は大泣きしながら帰ってきました。あまりにも急いでいたので、ロウソクを川に落としてしまったのです。手には5本のロウソクしか残っていません。

おばあさんはがっかりしましたが「5ほんだって ないより ましさ」と言って、ケーキを食べることにしました。

美味しそうなケーキにロウソクを立てて、火を灯したころには、ふたりともすっかり上機嫌。おばあさんは「1さい 2さい 3さい 4さい 5さい」とロウソクを数え、「5さいの おたんじょうび おめでとう」と自分で自分を祝いました。

翌朝、猫はいつものように魚釣りの準備を済ませると、いつものように「おばあちゃんも おいでよ」と誘いました。すると「だって わたしは 5さいだもの……あら そうね! 5さいだから、さかなつりに いくわ」と、おばあさんの返事がいつもと違います。

昨日の誕生日からおばあさんの気持ちはすっかり5歳。「だって わたしは 5さいだもの」が口癖になっていました。

さて、おばあさんと猫の魚釣りではどんなことが待ち受けているのでしょう。


この絵本の著者:佐野 洋子氏は、巻末のあとがきで、ある街で暮らしたことやおばあさん達と交流したことを綴ります。いたずら好きの魅力的なおばあさん、公園で日向ぼっこするおばあさん、窓側の椅子に一日中座っているおばあさん……たくさんのおばあさんがその街で暮らしていたと言います。

もしかすると、この絵本制作にあたって、そのおばあさん達との交流からインスピレーションを受けたのかもしれません。