この絵本の内容紹介
「ねぇ ママ あのさぁ」
今日に限ってパパが家にいないので、僕は仕方なくママにお願いすることにしました。
ところが、僕がママに声をかけても忙しそうにしています。食器を片付けたり、洗濯をしたり、家事に追われるママは僕のお願いを聞く暇もありません。
「あら? どうしたの? それより 宿題は終わったの?」
片手間で僕の話を聞くママは、なんだか上の空。話を聞いてくれるかと思いきや、僕に宿題をするように促すのです。そんなママの様子に、僕はお願いすることを諦めて宿題をすることしました。
一度は諦めて宿題に向かう僕。それでもやっぱり諦められず、改めてママにお願いしました。
「ねぇ ママ じつは お願いがあるんだ 僕 買い物に行きたい」
そのお願いを聞いたママは、何を買いたいのかを教えてくれないと買い物には連れて行かないと言います。
ところが、僕にはそれを言えない事情があるのです。宿題が終わったら買い物に連れて行って欲しいと改めてお願いしました。
それでもママは、何を買いたいのか教えてくれないと連れて行かないと言うのです。
明日は母の日。僕は最初こそ何も気にしていませんでした。ところが、クラスの友達がサプライズを企んでいるという話を聞くうちに、僕もママを驚かせたい、喜ばせたい、そう思うようになったのです。
パパの肩揉みをして貯めたお小遣いを使って、ママにサプライズプレゼントをしようと考えますが、子ども一人では買い物に行けません。事前に準備をすれば良かったのですが、急にアイデアが湧いたので時間に余裕がありません。しかも今日に限ってパパがいないので、仕方がなくママにお願いしなければならなかったのです。
最後は必死でママにお願いしますが、ママを喜ばせるどころか逆に怒らせてしまいます。僕は悔しくて、どうしたらよいのか分からなくて、とうとう涙が出てきました。
「なんで泣いてるの? 泣いてもダメよ オモチャは買わないからね」
ママは、僕がオモチャを買って欲しいと思っているのだと勘違いしているようです。それを否定すると、何を買いたいのかとママの質問は止まりません。
涙が止まらず、どうしようもなくなった僕は、ついに企みを打ち明け……。
少年のもどかしい気持ちと日々忙しい母の行動、どちらが悪いとも言えず、どちらにも共感できることでしょう。親子の深い愛情に胸が締め付けられるような、そんな感動を覚える絵本です。