この絵本の内容紹介
メジロの歌声が春の訪れが近いことを知らせます。そして、切り株の根元にはシロツメクサが生えていました。
ところがよく見ると、それはシロツメクサではありません。シロツメクサ小人のナーシャです。
「よーし、ことしも ここを りっぱな シロツメクサの はらっぱに しよう!」
ナーシャはそう独り言を呟くと、今度は「オヒサマ トモダチ ミツバノハ」とおまじないの呪文を唱えました。すると、地面からぴょこっとシロツメクサの三つ葉の葉っぱが芽生えました。それからナーシャはくるくる踊りながら、そのおまじないの言葉を繰り返し唱えました。
そうすると、あたり一面はあっという間にシロツメクサの原っぱになったのです。動物達はそのシロツメクサを目掛けて集まってきました。
「ナーシャ、おはなも わすれないで おくれよ」
ミツバチ達がそう声を掛けると、ナーシャは慌てて家に戻りました。そして、古くてボロボロの分厚い本を持ってきました。
その本には、おまじないの呪文が記されています。ナーシャがその本を見ながら「ハルノヒ ソヨカゼ ハナヒラク!」と唱えると、今度は花が次々と咲き始めました。
そうやってシロツメクサの原っぱは賑やかになり、ナーシャが笑うと四つ葉の葉っぱも芽生えました。
「ぼくと けっこんしてください。この よつばに ちかって……」
その幸せに溢れた原っぱで、一羽のツバメがプロポーズしました。結果は、見事成功。さっそく、素敵な結婚式が行われました。
そうして夫婦となったツバメ達は、シロツメクサを見渡せる背の高い木に巣を作ります。それからある日、ツバメの夫婦は可愛らしい子ども達を授かりました。生まれていないのはあと一つの卵だけ。その卵が生まれてくるのをみんなで温かく見守ります。
そのとき、上空にカラスの黒い影が見えました。そのカラスは恐ろしい形相でツバメ夫婦の巣を目掛けて飛んできて……。
ナーシャは必死で卵を守ろうとしますが、一体どうなってしまうのでしょう。
この絵本からは、春の爽やかな香りが風に乗って吹いてくるかのように感じます。また、植物や動物達の生命の輝きも感じられます。そんな素敵な春が実際に訪れると、もしかするとナーシャの可愛らしいおまじないの呪文を真似して唱えたくなるかもしれません。