この絵本の内容紹介
昔々、あるところに一人ぼっちで暮らす人喰い鬼がいました。
人喰い鬼は、とても残酷で大食い、朝食に子どもを食べるのが大好きです。毎日、町に出掛けては子ども達を誘拐するのでした。
そんな人喰い鬼を恐れた町の人々は、秘密の穴蔵を掘って、子ども達をそこに隠しました。町の学校は、空っぽになってしまい先生はすることがないほどです。
町から子ども達の姿が消えると、人喰い鬼は麦のお粥と生ぬるいキャベツ料理と冷たいジャガイモで我慢しなければなりません。お腹が満たされない人喰い鬼は、ぶつぶつ呟いて唸って過ごすのでした。
一方、町から離れた谷間の森の開拓地では、百姓と娘のゼラルダが二人で暮らしていました。その親子は人喰い鬼の噂さえも聞いたこともありませんでした。
ゼラルダは料理が大好きな女の子。6歳になる頃には、煮たり焼いたり揚げたり蒸したり、様々な料理ができるほどです。
百姓は年に一度、農場の作物を売るために町に出掛けます。ところが、その前日になって百姓は体調を崩してしまうのでした。
そこで百姓は、自分に代わって一人で町に出掛けるようにと娘のゼラルダに伝えます。次の日の朝を迎えると、ロバに荷車を引かせてゼラルダは町へと出掛けていくのでした。
腹ぺこで気が狂いそうな人喰い鬼は、ゼラルダの匂いを嗅ぎつけると、岩影に身を潜めて待ち伏せるのです。ゼラルダが近くまでやってきたところで、人喰い鬼は飛びかかって誘拐しようと企むのでした。
ところが、あまりの空腹で焦ってしまった人喰い鬼は、岩から足を滑らせて道の真ん中に転げ落ちてしまいます。鼻から血を流し、足を挫き、気絶してしまうのでした。
そんな人喰い鬼を見つけたゼラルダは、可哀想に思って手当てをします。そして、人喰い鬼は気を取り戻すのですが、お腹を鳴らしながら空腹だと嘆くのでした。
ゼラルダは、枯れ枝を集めて火を起こすと、市場に持っていく食材を半分も使って料理を始めます。それからあっという間に料理が並び、その料理のおかげで人喰い鬼はすっかり元気を取り戻し・・・。
慈悲深いゼラルダは、人喰い鬼の悪行の数々を全く知りません。元気を取り戻した人喰い鬼を目の前にして、ゼラルダは一体どうなってしまうのでしょうか。
最後はホッと一安心。そして、意外な展開でハッピーエンドを迎えます。