この絵本の内容紹介あらすじ

自然の恵とみんなで拓いた土に生かされた飯舘村を放射能に追われ、長引く避難生活、そこでの無念さや苦悩…、避難指示の解除とともに自主的に帰村した人たち(サマショール)の農業再開の取組みと願いや夢を伝える。

「日本一美しい村」とよばれた福島県飯舘村。
そこに、田畑をたがやし、互いに支え合い自然の恵みに生かされた前田集落があります。
その土地で、60年近く、「百姓」を続けてきた佐藤忠義さんは、つぎのように語ります。

「今から100年も前のことだけど、食べ物にすら困るような時代があったの。
でも、ここで一所懸命たがやせば食べられる。
それを聞いたじいさんが飯舘村に来たって話だ。

そのころはまだ、飯舘村ではなく前田村だった。
俺は、小学校と中学校を卒業すると、すぐに親父の百姓仕事を手伝いはじめたの。
冬には、東京にも出稼ぎに行ったのよ。

親父は炭焼きや山仕事もして、土地を拓き、俺の代にも、少しずつ拓いて、田畑を増やし、少しは暮らしも楽になるかなと思っていたの。
原発事故が起こる前までは……」

しかし、原発事故で佐藤さんの願いはかなわず、田畑から切り離され、避難を強いられました。
それでも、仮設住宅の自治会長として、みんなを励まし、長引く避難生活を支えます。

そして、全村避難から7年がたった2018年春、田んぼに水を引き、米づくりを再開しました。

絵本「それでも「ふるさと」 あの日から10年 土に生かされた暮らしをつなぐ」の一コマ
絵本「それでも「ふるさと」 あの日から10年 土に生かされた暮らしをつなぐ」の一コマ2
絵本「それでも「ふるさと」 あの日から10年 土に生かされた暮らしをつなぐ」の一コマ3