この絵本の内容紹介
街は高層ビルが立ち並び、道路には渋滞するほどの車が溢れ、仕事ではコンピューターが大活躍する時代のこと、スーパーコンピューターが恐ろしい計算をしました。
「十五にちめの十じ二ふん。でかでかぼしが、ちきゅうに ぶつかる」
なんと、地球の千倍も大きい隕石が地球目掛けて落ちてくるというのです。
このニュースに、地球に住む生き物達は大混乱。おじさんは電柱によじ登り、おばさんは犬小屋に頭だけ突っ込み、犬や猫やネズミも路地を逃げまわります。クジラは大ダコに担がれて山へ逃げ出し、ゴリラはカバに乗って海を渡ります。
そうするうちに巨大隕石はどんどん地球に近づき、残り三十分で衝突するというところまでやってきました。
一方、山の上には浮世離れした仙人が暮らしていました。仙人は、霞を食べて、霞の屁をして、ぼーと暮らしています。これだけ発達したご時世に、仙人がいるとは誰も信じません。
その仙人が、山の下に向かって小石を「ころり」と転がしました。すると、小石は中くらいの石にぶつかって、中くらいの石は大きい石にぶつかって、大きな石はゴツゴツした岩にぶつかって……最後は大岩が転がり始め、「どしーん」と勢いよく地面を叩きつけました。その勢いは物凄く、ぶつかられた地球は少しだけ横にずれて……。
さて、巨大隕石が接近する地球はどうなってしまったのでしょう。
このお話は、バタフライ効果(非常に些細なことが様々な要因を引き起こし、段々と大きな現象へと変化すること)を描いたかのよう。蝶の羽ばたきが嵐を巻き起こすという例え話を、内田 麟太郎氏流に、長 新太氏流に描くとユーモアたっぷりに仕上がるのでしょう。という堅苦しい話は抜きにして……。
「これ、どんな意味があるんですか?」と真面目で堅苦しいご時世だからこそ、肩の力を抜きたくなるものです。「まさか、こんな仙人が地球を救うとは……」というこの絵本は、今の時代を見つめ直すきっかけになるかもしれません。毎日を忙しく過ごす人にこそ読んで欲しいナンセンス絵本です。