この絵本の内容紹介
昔々、山村に笠作りの商いをするおじいさんとおばあさんがいました。
二人の間には六人の子どもがいましたが、小さいうちにあの世に旅立ってしまったので二人暮らしをしています。
ある年の暮れに笠を背負っておじいさんは町へ出かけて行きました。
そして、町へ着いたおじいさんは、「かさや、かさ、あめやゆきしのぐ かさや、かさ」と声を張り上げて笠を売り歩きますが、正月支度で忙しい町の人たちは見向きもしません。
笠が一枚も売れず、雪が降り始めたので、おじいさんは諦めて帰り始めました。
帰りの道中、気がつくとおじいさんの目の前には六地蔵が立っています。頭も体も雪が積もった六地蔵を見たおじいさんは、雪を払って売れ残った笠を被せてあげることにします。
ところが、笠は五枚しかないのであと一枚が足りません。そこで、おじいさんは自分の被っていた古手拭いを地蔵の頭に被せました。
おじいさんが家に帰り着くとおばあさんが迎え入れます。おじいさんが笠が一枚もなくなってしまった理由を話すとおばあさんは「そりゃ いいこと しなさった」と微笑むのでした。
大晦日は慎ましい夜を過ごし、おじいさんとおばあさんは明日のお正月に備えて眠りにつきます。ところが、雪が降り続く夜のこと、外から歌声とソリを引く音が聞こえてきたのです。
だんだんと音は近づいてきますが、この音の正体はなんなのでしょう。そして、何が起こるのでしょうか。おなじみ笠地蔵の穏やかで温かなお話です。