この絵本の内容紹介あらすじ

「さびしくないよ。かなしくないよ。ぼくは強い猫なんだ」
震災と孤独を乗り越えた猫の、新たな友情と絆の物語

大好きなおばあさんと、友達同士として仲良く暮らしていた猫、トラ。
しかし阪神・淡路大震災の発生で、その生活は一変してしまいます。
おばあさんがトラを連れて避難所に入ろうとしても「ペットは無理だよ」と断られ、新しい飼い主が見つかっても、トラは元のお家に帰りたくて仕方ありません。

「猫は遠くに連れて行かれても、住んでいた家へ帰ることができるんだ」

ついに新しい飼い主の家を飛び出したトラですが、おばあさんと暮らしたお家はもうなくなっていて、そのままノラ猫になってしまいます。
過酷な環境のなかで生き抜いていたある日、トラは昔のおばあさんと似た足音を聞き……

トラの賢さと心の成長を通して、逆境にも負けない勇気と優しさが伝わってくる物語です。

編集者からのコメント

主人公のトラには実在のモデルがいます。阪神・淡路大震災を経験した高校教員の宮寺良平先生が、被災しながらも公園でたくましく生きている猫と出会い、その生き方を書き残したいと願って、元教え子の本庄以知子さんとともに制作されたのが本作です。
一匹の猫の物語というだけでなく、災害時のペット事情をあらためて考えさせてくれる作品でもあります。
震災から30年を迎えるこの節目に、絵本を通じて災害の記憶を風化させず、次の世代に語り継いでいくことの重要性を感じています。

絵本「ぼくの名前はトラ」の一コマ
絵本「ぼくの名前はトラ」の一コマ2
絵本「ぼくの名前はトラ」の一コマ3