この絵本の内容紹介
朝、先生が教室に入ると……
「せんせい おそいよー」
「“おはよう”じゃなくて、“おそよう”だー!」
「せんせいが ちこくしたら だめじゃん」
実際は『朝の会』の20分前。
子ども達が来るのが早いだけなんだけれど……。
本当はもっと早く来たかったけれども家の用事があって……。
「ごちそうさまー」
先生は給食を食べるのがとても早いです。
その理由は給食が美味しいから……というのは建前で、本当はテストや宿題の採点をしなければいけないから……。
先生も子ども達と一緒にゆっくりお喋りしながら食べたいのです。そして、それが出来ないことを申し訳なくも思っています。
放課後も忙しく働く先生。授業が終わってもすべきことが沢山あるのです。
でも……
「おかあさんが せんせいって たくさん やすみが あって いいなーって いってたよ」
「なつやすみも ふゆやすみも あって いいなーって いってたー」
「パパなんか、せんせいは なまけものだーって いってたよ」
本当は夏休みも冬休みも春休みも土日も仕事をしているのだけれど……。
成績をつけたり、授業の準備をしているのだけれど……。
先生って忙しくて辛い仕事!?
『周りから見える先生の印象』と『実際の先生の現状』は大きく違うことがあります。
本当は多忙だったり、それなのに怠け者に見られたり……。
それでも先生を続けられる理由とは……。
この絵本の著者は小学校の先生。当事者だからこそ伝えられる苦労も魅力も描かれています。
身近なようで意外と知らない『先生』の等身大の姿を発見したり、共感したりできるはずです。
チーターのように急いで駆け込んだり、リスのように慌てて給食を頬張ったり、ライオンのように大きな声で怒ったりとコミカルに表現された先生の日常の一場面一場面ですが、読み進むにつれて『先生もみんなと同じ人間なんだ』と改めて感じられるのではないでしょうか。
作者:まつした じゅんじさんが、この絵本に込めた想い
絵本の内容は、もっと子どもとゆっくり向き合いたい先生と、もっと先生といっしょに遊びたい子どもたちとの、少し悲しくて心あたたまるお話です。
学校の先生はブラックな職業だと、最近とても言われています。確かに、しんどいことはあります。
でも、しんどいことがあるのは、他のお仕事も同じだと思います。やりがいもたくさんあるのに、しんどさばかりが注目されるのが悔しくて・・・。
学校で働くことのしんどさだけでなく魅力を、子どもを含め多くの方に伝えたくて、絵本の形を選びました。
子どもにとって身近な職業である学校の先生のことを、絵本を通して伝えていきたいです。
そして、様々な業種で働かれている方の活力に少しでもなれば嬉しいです。